チョスンサジャ
分 類 | 朝鮮伝承 |
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저승사자〔Jeoseung Saja〕(チョスンサジャ)《あの世の使者》【朝鮮語】 | |
容 姿 | 黒い民族衣装に山高帽。白い顔に真っ黒い唇。 |
特 徴 | 3人一組。閻魔王の命令で死ぬべき人間をあの世に連れて行く。 |
出 典 | - |
韓国の死神はおしゃれな黒い山高帽をかぶっている!?
チョスンサジャは朝鮮の伝承に登場する死神。白っぽい顔に真っ黒い唇、真っ黒い民族衣装に山高帽をかぶり、死ぬ予定の人間の一覧が書かれた紙と筆を持っている。チョスンとは《あの世》、サジャとは《使者》のこと。名前のとおり、閻魔大王に命じられて、死ぬべき人間を迎えに来るのである。非常に官僚的な性格だとされる。チョスンサジャに賄賂を渡すことで、寿命を延ばしてもらうというエピソードもよく知られる。
韓国では、お葬式の際には、使者のための特別な御膳が準備されることもあって、御膳にはご飯やおかず、お金の他に、使者が履く草鞋(わらじ)まで添えられる。これを「사잣밥(サジャスパプ)」と呼ぶ。チョスンサジャがちゃんとあの世まで死者を案内してくれることに感謝の意を示すものである。三人で一組になっているとも言われていて、三人分の食事とお金、草鞋が用意されることが多い。
チョスンサジャに関しては、連れて行く人間を間違えたり、同姓同名を連れて行ったりして、閻魔大王に怒られるなどのお茶目なエピソードも知られている。間違ったと気づいて蘇らせようとするも、すでに葬儀が終わって肉体がなくなっていて復活できないという話もあれば、同姓同名でどちらか分からないため、両方連れて行ったという話もある。常に「死」は理不尽なのである。
寝ているときに何人かの人間が話し合っているのを聞いてしまうという話もよく知られている。「この家だ」「いや、あの家だ」と議論して、いつの間にかいなくなる。そして、次の日に隣の家の人が死ぬという物語だ。彼らはチョスンサジャで、もしも、「この家だ」と結論づけられていたら、死んでいたのは自分だったというオチである。
チョスンサジャと言えば、現在では真っ黒い衣装を身に纏っているイメージで語られるが、これはドラマ『伝説の故郷(전설의 고향에)』(1977年)の影響が大きいと言う。伝統的なチョスンサジャは派手な衣装を纏っていたり、将軍のような姿で描かれたりしていたようだ。
Last update: 2025/02/09