以津真天(イツマデ)

分 類日本伝承
名 称 以津真天(イツマデ)【日本語】
容 姿怪鳥。ヘビの身体、人間の頭、ギザギザの歯のクチバシと鋭い爪を持つ。
特 徴「イツマデー、イツマデー」と鳴く。疫病と結び付けられる。
出 典鳥山石燕『今昔画図続百鬼』(1779年)ほか

「イツマデー、イツマデー」と鳴く怪鳥!?

以津真天(イツマデ)は日本の妖怪。ヘビの身体に人間の頭を持った怪鳥で、曲がったクチバシにはノコギリのような歯が並ぶ。両足の爪は鋭い。翼を広げると1丈6尺(約4.8メートル)もあったという。鳥山石燕の画集『今昔画図続百鬼』(1779年)に掲載されていて、「広有 いつまでいつまでと鳴し怪鳥を射し事 太平記に委し」と解説がついているので、これは『太平記』(14世紀頃)の12巻の「広有射怪鳥事」の怪鳥を描いたものである。

『太平記』によれば、建武元年(1334年)の秋に疫病が流行し、病死者がたくさん出た頃、毎晩のように紫宸殿(天皇が公的な儀式をする場)の上に怪鳥が現れて「いつまでも、いつまでも」と鳴いて人々を恐れさせていた。公卿たちは源頼政が弓で射てヌエを退治したように、この怪鳥も弓の名手に退治させようと考え、隠岐次郎左衛門広有に依頼する。広有は見事、怪鳥を射止めた。すると、前述のような怪物が降ってきたという。

ヌエと同様、この怪物も「怪鳥」と記されているだけで、明確な名前は伝わっていないが、石燕はこれに「以津真天」と名前を付けたと考えられる。

《参考文献》

Last update: 2020/05/05

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