イチジャマ

分 類日本伝承(沖縄伝承)
名 称 イチジャマ【日本語(沖縄方言)】
容 姿人間。
特 徴生霊となって相手を呪う。
出 典

呪術師、鍋で土人形を煮て相手を呪う!?

イチジャマは沖縄県に伝わる呪術、あるいはその呪術を使う呪術師。イチジャマは生霊(イキリョウ)となって、呪術者の身体から抜け出し、恨みや憎しみを覚えた相手の元を訪れ、芭蕉、ニンニク、ラッキョウなどの作物の贈り物をする。それを受け取ると、その人はイキジャマにとり憑かれ、原因不明の病気になり、ときには死に至ることもある。イキジャマは呪術者と同じ姿をとるという。呪術師は、土人形を作って、これに針を刺して相手に痛みを与えたり、操ったリ、鍋で煮て、病気にさせたり場所を呪文のように唱えたりして、相手を殺そうとする。イチジャマは、このように、呪術師の身体から抜け出した霊魂を指したり、呪術そのものを指すが、このような呪術を使う霊的能力を持った呪術師、あるいはその家系を指すこともある。呪術師のことを指すときには「イチジャマー」と呼ぶこともある。イチジャマは人間にとり憑くだけでなく、ウシやウマ、ブタなどの家畜などにもとり憑いた。

イチジャマの能力は母から娘など、女系で伝えられることが多く、能力を持つ者の多くは鋭い目をしているという。また、イチジャマの家系の人間との結婚は忌避されたが、イチジャマの家系は美男美女が多く、知らずに結婚する例も多かったという。

イチジャマにとり憑かれた人からイチジャマを外すのはユタと呼ばれる巫女である。ユタは診断(ハンジ)をして、その人間にイチジャマがとり憑いているかどうかを見分けると、イチジャマの正体(すなわち呪術者が誰か)を明かし、イチジャマを相手へ送り返す。17世紀には、イチジャマを使ったという女性が告発され、死罪にされた記録が多数、残っている。なお、沖縄では、呪術を使えるのはユタかイチジャマーで、ユタが社会のために呪術を用いるのに対して、イチジャマーは私欲のために使うと信じている。また、真の守護霊(チヂ)を持たないユタなのだとも言われている。

《参考文献》

Last update: 2020/04/19

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