火鼠(ホゥオシュウ/かそ)
分 類 | 中国伝承、日本伝承 |
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火鼠 〔huŏshŭ〕(ホゥオシュウ)【中国語】 火鼠(かそ)【日本語】 | |
容 姿 | 真っ白い大きなネズミ。 |
特 徴 | 炎の中で生きられる。 |
出 典 | 『竹取物語』ほか |
炎の中で生きる巨大ネズミ!?
火鼠(ホゥオシュウ、かそ)は中国に伝わる伝説の生物。火山や燃える野原の中など、炎の中で平気で生きられる。体重は約250キログラムと比較的大きな鼠で、絹糸よりも細い毛を生やしている。火の中では身体は赤く、火の外に出ると白くなるという。火の外にいるときに水を掛けると死んでしまう。
この火鼠の毛を織った布は火浣布(かかんふ)などと呼ばれる。真っ白な布で、火に入れても燃えず、汚れても火の中にくべると、再び真っ白になるという。火浣布は「石綿」(実際には布ではなく鉱石だが)のことだと類推される。類似の話として、ヨーロッパには火の中に棲む真っ白い火トカゲ・サラマンダーの伝承があり、マルコ・ポーロ『東方見聞録』でも紹介されている。これも、おそらく「石綿」のことだろう。『隋書』では史国(現在のウズベキスタン)でこの布が採れると記載されている。
平安時代中期に成立した『竹取物語』では、かぐや姫が5人の貴族に求婚され、それぞれに無理難題を突き付けるが、右大臣・阿倍御主人(あべのみうし)に課した難題が「火鼠(ひねずみ)の裘(かわごろも)」である。阿倍御主人は承認に頼み、天竺から金青色の毛皮を入手してかぐや姫に示したが、火にくべたら燃え尽きてしまった。
《参考文献》
- 『Truth In Fantasy 事典シリーズ 2 幻想動物事典』(著:草野巧,画:シブヤユウジ,新紀元社,1997年)
Last update: 2020/07/05