ブージャム
分 類 | 近代文学(アリス・シリーズ) |
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Boojum(ブージャム)【英語】 | |
容 姿 | 一切が不明。 |
特 徴 | スナークの一種。スナークがブージャムだった場合、遭遇した人は跡形もなく消失する。 |
出 典 | ルイス・キャロル『スナーク狩り』(1876年)ほか |
そうスナークはブージャムだった!?
ブージャムは、ルイス・キャロルの『スナーク狩り』というナンセンス詩で言及される謎の生き物で、スナークの一種。『スナーク狩り』は、船長のベルマン、靴磨き、帽子屋、弁護士、ブローカー、ビリヤード・マーカー、銀行家、ビーバー、名無しのパン屋、肉屋の9人と1匹がスナークという謎の生き物を探す物語である。
ベルマン船長によれば、スナークは貧弱でこけているが、味はカリッとしている。胴回りが細い燕尾服のようで、ウィル・オ・ザ・ウィスプ(鬼火)の香りがする。大変な寝坊で、朝食が夕方のお茶の時間、夕食は次の日になってしまう。冗談には疎く、洒落に悩んで溜息を吐き、難しい顔をする。海水浴場の移動更衣車を溺愛して、野心が強い。
ベルマン船長は、さらにスナークをいくつかに分類していて、羽を生やして噛み付くものと、ひげを生やして引っ掻くもの、そして、無害なスナークの中で例外的に危険なブージャムを挙げている。
"'If your Snark be a Snark, that is right: Fetch it home by all means --- you may serve it with greens, And it's handy forstriking a light. 'You may seek it with thimbles --- and seek it with care; You may hunt it with forks and hope; You may threaten its life with a railway-share; You may charm it with smiles and soap ---'" "'But oh, beamish nephew, beware of the day, If your Snark be a Boojum! For then You will softly and suddenly vanish away, And never be met with again!'
「もしもスナークがスナークならば問題ない。何としても家に連れ帰れ。野菜を与えれば、火を灯すのに役に立つ。スナークは指ぬきを使って注意深く探すのだ。フォークと希望で狩り立て、鉄道株で脅かして、笑みとシャボンで魅了して。しかし、優しい甥よ、心せよ。もしもスナークがブージャムなら、お前はたちどころに消え失せ、もう二度と会うことはない」
(ルイス・キャロル『スナーク狩り』「パン屋の物語」より)
物語の最後で、名無しのパン屋はスナークと遭遇したらしく「スナークだ!」と叫ぶ。しかし、その後、「ブー……」という言葉を残して、パン屋は何の痕跡も残さずに消えてしまい、そして『スナーク狩り』の物語は「そうスナークはブージャムだった」で唐突に終わる。
《参考文献》
- 『スナーク狩り』(著:ルイス・キャロル,絵:トーベ・ヤンソン,訳:穂村弘,集英社,2014年)
Last update: 2021/09/12