アムドゥシアス
分 類 | 魔法書文献、悪魔学 |
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Amdusias(アムドゥシアス),Amdukias(アムドゥキアス)【ラテン語】 | |
容 姿 | ユニコーンの姿。命じれば人間の姿にもなる。 |
特 徴 | 木々を意のままに曲げたり傾げたりできる。出現時にどこからともなく音楽が聴こえてくる。 |
出 典 | 『レメゲトン』「ゴエティア」(17世紀頃)ほか |
オーケストラによる演出で登場する樹木を操る悪霊!?
アムドゥシアスは17世紀頃に成立したと考えられる魔法書『ゴエティア(Goetia)』に登場するソロモン王が使役した72匹の悪霊の1匹。召喚すると、ユニコーンの姿で出現するが、召喚者が命令すれば、人間の姿になる。しかも、召喚されるときに、どこからともなく音楽が流れてくるという演出付きなので、近年では、しばしば音楽と関わりのある悪霊とされる。演奏者たちの姿は見えないが、あらゆる楽器の音が聴こえてくるという。
また、アムドゥシアスは術者の意のままに木々を曲げたり傾げたりすることができるという。これがどういう意味を持つ能力なのかよく分からないが、森の中を歩く敵対者の通行を阻害したり、木造の建物を壊したりするのに役に立つかもしれない。また、彼は素晴らしい使い魔を与えてくれるという。
彼は地獄では公爵の位にあるので、比較的高位の悪霊と言える。29個の悪霊の軍隊を率いているという。
『レメゲトン』「ゴエティア」に描かれるアムドゥシアス
17世紀頃には成立していたと考えられている中世の魔法書『レメゲトン』の第1部「ゴエティア」にアガレスの記述がある。「ゴエティア」はソロモン王が使役したという72匹の悪霊について、その召喚の手順を具体的に記したもので、必要な呪文や魔法陣、72匹の悪霊たちのそれぞれの能力や紋章(シジル)、召喚に際しての注意事項などが書かれている。「ゴエティア」でアムドゥシアスは37番目に紹介されている。
AMDUSIAS, or AMDUKIAS. - The Sixty-seventh Spirit is Amdusias, or Amdukias. He is a Duke Great and Strong, appearing at first like a Unicorn, but at the request of the Exorcist he standeth before him in Human Shape, causing Trumpets, and all manner of Musical Instruments to be heard, but not soon or immediately. Also he can cause Trees to bend and incline according to the Exorcist's Will. He giveth Excellent Familiars. He governeth 29 Legions of Spirits. And his Seal is this, etc.
アムドゥシアス、あるいはアムドゥキアス:第67番目の悪霊はアムドゥシアス、あるいはアムドゥキアスだ。彼は偉大で強力な公爵で、初めはユニコーンのような姿で出現するが、術者の要求で人間の姿で術者の前に立つが、召喚されるやいなや、どこからともなくトランペットやその他のあらゆる楽器の音が聴こえてくる。また、彼は術者の意のままに木々を曲げたり傾げたりすることができる。彼は素晴らしい使い魔を与える。彼は29個の悪霊の軍隊を統治する。また、彼の紋章はこれである。
(メイザース&クロウリィ『ゴエティア』より)
コラン・ド・プランシーの『地獄の辞典』に描かれるアムドゥシアス
フランスの文筆家コラン・ド・プランシーが1818年にまとめた『地獄の辞典』は改訂を重ね、1863年の第6版ではブレトンの悪魔の挿絵が加わった。その中でも「アムドゥシアス」として紹介されている。
(コラン・ド・プランシー『地獄の辞典』より)
《参考文献》
- 『Truth In Fantasy 事典シリーズ 2 幻想動物事典』(著:草野巧,画:シブヤユウジ,新紀元社,1997年)
- 『Pseudomonarchia Daemonum』(著:Johann Weyer,1577年)
- 『Dictionnaire Infernal』(著:J. Collin de Plancy, 1863年)
- 『The Book of the Goetia of Solomon the King』(著:S.L.MacGregor Mathers/Aleister Crowley, 1904年)
Last update: 2020/04/07