陰摩羅鬼(インモォルオグゥイ/オンモラキ)

分 類中国伝承、日本の妖怪
名 称 陰摩羅鬼(阴摩罗鬼)〔Yīnmóluóguĭ〕(インモォルオグゥイ)【中国語】
陰摩羅鬼,陰魔羅鬼(オンモラキ)【日本語】
容 姿黒い鶴のような姿。目が灯火(ともしび)のように光る。
特 徴新しい死体の気が変化してなった妖怪。寺などで寝ている人間がいると出没する。甲高く鳴く。
出 典鳥山石燕『今昔画図続百鬼』(1779年)ほか

死体の気が化けた怪物!!

陰摩羅鬼(インモォルオグゥイ/オンモラキ)は充分に供養されていない死体の「気」が化けたもので、黒い鶴ような姿で現れるという。灯火(ともしび)のような眼を持ち、羽を震わせて甲高く鳴く。中国の『清尊録』や日本の『太平百物語』などに登場する。経典『大蔵経』にも説明があるという。

『清尊録』によれば、宋の時代、鄭州の崔嗣復が都の外にある寺の法堂の上で寝ていると、自分を叱りつける声で目が覚めたという。驚いて起き上がると、黒い鶴のような鳥が羽を震わせて甲高い鳴き声を発していた。その目は灯火のように光り輝いていたという。崔が廊下へ逃げ出すと、怪鳥は姿を消したという。翌朝、寺の僧侶に話すと、10日前に死人を運んできて仮置きしているが、それではないかと言ったという。また、都に帰ってから開宝寺の僧侶に同じ話をすると、新しい死体の気が変化(へんげ)して陰摩羅鬼になると説明したという。『太平百物語』では、山城国(現在の京都)に住む宅兵衛が寺でうたた寝していると、名前を何度も呼びかけられ、目を覚ますと黒い鷺のような鳥がいて、灯火のように目を光らせていたという。長老が語った原因も、『清尊録』と同じで仮置きした死体の気が変じて陰摩羅鬼になったものだという。

鳥山石燕も中国の『大蔵経』や『清尊録』を引用して、口から火を噴く人頭の不気味な鳥を『今昔画図続百鬼』に描いている。

陰摩羅鬼 蔵経の中に、初て新たなる屍の気変じて陰摩羅鬼となる、と云へり。そのかたち鶴の如くして、色くろく目の光ともしびのごとく羽をふるひて鳴声たかし、と清尊録にあり。

鳥山石燕が描いた「陰摩羅鬼」

(鳥山石燕『今昔画図続百鬼』「晦」より「陰摩羅鬼」)

《参考文献》

Last update: 2011/05/04

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