ヤフー

分 類近代文学
名 称 yahoo(ヤフー)【英語】
容 姿毛むくじゃらの人間。
特 徴野蛮で、常に争い合う未開の獣。
出 典ジョナサン・スウィフト『ガリヴァー旅行記』(1726年)ほか

醜く野蛮な人類!?

ヤフーはジョナサン・スウィフトの小説『ガリヴァー旅行記』(1726年)の第4篇「フウイヌム国渡航記」に登場する野蛮な民族である。毛むくじゃらで黄褐色の肌をしているが、それ以外は人間にそっくりの姿をしている。言葉を話さず、排泄物に塗れ、常に宝石を奪い合って争い合う未開の獣である。

『ガリヴァー旅行記』の中で、ガリヴァーは小人の国リリパット、巨人の国ブロブディンナグ、空飛ぶ国ラピュータなどを航海しているが、最後の航海である小島に置き去りにされた。それは理性的なウマのフウイヌム族によって統治されたフウイヌム国で、平和で合理的な理想の社会が築かれていた。フウイヌム国には争いはなく、フウイヌムたちは穏やかに暮らし、病もなく、寿命を全うして死ぬ。

フウイヌム国には、野蛮なヤフーたちが棲んでいた。ヤフーは理由もなく争い合う存在で、フウイヌムたちに若いヤフーを家畜として利用していたが、一方で増えすぎて排除すべき害獣でもあった。フウイヌムたちにとって、ガリヴァーはヤフーそっくりだったが、礼儀もあり、言葉も理解するため、フウイヌムたちはガリヴァーに言葉を教え、一緒に暮らし始める。フウイヌムが、ヤフーとガリヴァーを並べて、仔細に見比べるシーンがある。ガリヴァーは毛むくじゃらで肌の色が異なる点意外は、ヤフーが自分とそっくりであると気づいて驚愕するが、フウイヌムたちは洋服が何なのかよく分からずに、ガリヴァーとヤフーは違うものだと考える。

フウイヌムたちの間で暮らすうちに、ガリヴァーはフウイヌムたちを崇拝し、ヤフーを嫌悪するようになる。ガリヴァーの世話になっているフウイヌムの一人は「たとえば、ここに5匹のヤフーがいる。仮に50人分の肉を与えたとしても、ヤフーはそれを独り占めしようと互いに争い合う」とヤフーを説明している。また、きれいな石が原因で絶えず争っていると説明する。ガリヴァーはフウイヌムたちに人間世界やイギリスのことを説明するが、フウイヌムたちは権力、政府、戦争、法律、刑罰、貨幣、武器などが理解できない。しかし、イギリスとフランスが戦争をしている話を聞いて、ガリヴァーたち人間も、根本はヤフーと同じではないかと評する。4年に一度の会議が開かれ、全国からフウイヌムたちが集まった。ヤフーが増えすぎたが、野蛮なヤフーは殺して、ロバを家畜にすべきだという議論が始まる。そして、ヤフーそっくりのガリヴァーをフウイヌムと同じように扱うべきではないということで、ガリヴァーはフウイヌムから追放されることになった。

ガリヴァーは失意のうちにフウイヌム国を出国し、途中でポルトガルの船に拾われてイギリスに戻る。しかし、そこはヤフーの国であった。出迎えてくれた妻の悪臭に耐えられず、ガリヴァーは卒倒する。その後、ガリヴァーは人間を遠避け、馬小屋で暮らすようになるのである。

《参考文献》

Last update: 2023/05/21

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