釣瓶おろし(ツルベオロシ)

分 類日本伝承
名 称 釣瓶下ろし(ツルベオロシ)【日本語】
釣瓶落とし(ツルベオトシ)【日本語】
釣瓶火(ツルベビ)【日本語】
容 姿釣瓶、生首、あるいは火の玉。
特 徴木の上から降ってきて驚かす。ときには人を喰らう。
出 典山岡元隣『古今百物語評判』(1686年)、鳥山石燕『画図百鬼夜行』(1776年)ほか

木の上から首が降ってきて驚かす!?

釣瓶おろし(ツルベオロシ)は日本の妖怪。夜道、通行人が木の下を通ると突然、上から落ちて来て人間を驚かせる。「釣瓶」というのは、井戸の水を汲み上げる滑車にぶら下がった桶のことで、さながらこの釣瓶のように上から落ちてくることから、この名前がついている。京都では、釣瓶おろしが木の上から落ちて来てゲラゲラ笑い、また木の上に上がっていくとか、木の上から生首が降りてきて人を喰らうなどとされた。同様の話は岐阜や滋賀にも伝わっている。

和歌山では釣瓶落とし(ツルベオトシ)と呼ばれ、他とは少し異なっていて、大木の根元に釣瓶があって、通行人が中を覗くと光るものがあるので手を伸ばすと、そのまま釣瓶によって木の上に引き上げられて、木の上の釣瓶落としに食い殺されたり、地面に叩きつけられて命を落とすとされる。

木の上から降ってくるのは火の玉!?

江戸時代の怪談本『古今百物語評判』(1686年)では「釣瓶おろし」として紹介され、木の上から火の玉が降ってくる。著者の山岡元隣は、その正体を大木の精霊とし、陰陽五行説を採用して、雨の日に(水)木から降ってくる(木)火の玉(火)として、説明している。鳥山石燕も妖怪画集『画図百鬼夜行』「前篇陽」で「釣瓶火」として、木からぶらさがる火として紹介している。どちらも絵があるが、火に顔が描かれている。

昭和・平成以降の妖怪関連書籍では、生首や釣瓶が落ちてくる「釣瓶おろし」、木からぶら下がる「釣瓶火」を別々の妖怪として紹介する事例も多いが、おそらく、元々は同じものである。

《参考文献》

Last update: 2021/08/01

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