ツチノコ

分 類未確認生物(UMA)日本伝承
名 称 槌の子(ツチノコ)【日本語】
カワチノコ、キギヘビ、杵の子(キネノコ)、杵蛇(キネヘビ)、コウガイヒラクチ、五十歩蛇(ゴジュッポヘビ)、五八寸(ゴハッスン)、コロガリ、三寸蛇(サンズンヘビ)、尺八蛇(シャクハチヘビ)、スキノトコ、俵蛇(タワラヘビ)、タンコロ、槌(ツチ)、ツチコロ、筒蝮(ツツマムシ)、ドコ、徳利蛇(トックリヘビ)、トッテンコロガシ、ドテンコ、野槌(ノヅチ)、バチソリ、バチヘビ、藁槌(ワラヅチ)【日本語】
容 姿胴の中央部が膨らんだ蛇。
特 徴飛び跳ねる。転がる。前進後進する。滑空する。瞬きする。
出 典田辺聖子『すべってころんで』(1972年)、矢口高雄『幻の怪蛇バチヘビ』(1973年)ほか

ツチノコ・ブームの到来!?

ツチノコは1970年代頃に日本全国で話題になった未確認生物(UMA)。体長30センチメートルから1メートルほどのヘビで、胴体の中央部が膨らんでいて、細いしっぽと細い首がついている。ビール瓶のようなヘビと説明されることが多い。北海道と沖縄を除くほぼ日本全国で多数の目撃が報告され、生け捕りに最高2億円の高額な懸賞金がかけられるなど、一時期は社会現象にまでなった。ブームの火付け役は田辺聖子の小説『すべってころんで』(1972年)で、ツチノコ捕獲に情熱を燃やす人々が活躍する。翌年にはNHKドラマにもなり、これでツチノコという言葉が全国区になると、西武百貨店がツチノコの生け捕りに賞金を懸けたり、1973年に矢口高雄が少年マガジンで『幻の怪蛇バチヘビ』の連載を開始したりとツチノコ・ブームが到来する。

ツチノコの目撃情報!?

ツチノコの目撃情報は実に多様で、1メートルの生垣を飛び跳ねたとか、斜面を転がったなどと言われる。跳ねたり転がったリするのは、ツチノコの特徴のひとつである。体を折って直角に立てるというコブラのような特徴を持つものもいる。また、いびきを掻くとか瞬きをする(蛇はまぶたがないため瞬きができない)などの目撃証言も多数、寄せられている。地方によって、毒があるものも毒がないものもいる。いずれも「チー」とか「ツー」などと鳴くと言われる。これらの特徴は一般のヘビには見られない。また、しゃくとり虫のように移動したとか、前進だけでなく後進することもできるなどの目撃情報がある。果ては平らな胴体を利用して空を滑空したとか、水中を泳いだなどの不思議な情報もある。

なお、ツチノコは京都の方言だが、全国でいろいろな呼び方がある。ゴハッスン(丈が八寸、太さが五寸で「五八寸」)、サンズンヘビ、シャクハチヘビ、ゴジュッポヘビ、バチソリ、ドコ、キギヘビ、ワラヅチ、ツチ、タンコロ、コロガリ、スキノトコ、トッテンコロガシ、ドテンコ、ツチコロ、キネノコ、ツツマムシ、タワラヘビ、コウガイヒラクチ、カワチノコ、トックリヘビ、キネヘビなど、さまざまである。

ちなみに、ツチノコと言えば、日本で最も知名度の高い未確認生物(UMA)のひとつであるが、柳田國男の『妖怪名彙』には、ツチノコに類する妖怪も挙げられており、妖怪としても同様の現象は収録されていることが分かる。たとえば、新潟県のヨコツヅヘビ(横筒蛇)は跳ねることで知られる。また、備前のテンコロは転がるという。中部地方のツチコロビも槌のような形で人が通ると転がってくるという。また、ノヅチは本来の語は《野の霊》と書くが、近年では「野槌」に変化していて、足元に転がってきて咬むという。三河のツトヘビは毒蛇で、苞(つと:藁などを束ねて編んだ容器で、旅行中の食料などを包んで運ぶ道具)の形をしているが、完全に殺さないとツトッコという妖怪になるなどと言われている。こういうのは、ツチノコの類いと考えられる。

ツチノコは誤認なのか!?

これらの目撃証言に対して、ツチノコは大きな獲物を呑み込んで腹が膨れたヘビや妊娠中のヘビの誤認などと専門家は指摘する。マムシやヤマカガシなどは、ガマガエルやネズミを丸呑みにしたときに腹部が膨れるので、その誤認だと考えられている。しかし、大抵の目撃者は「マムシやヤマカガシは見慣れている!」と怒り出す。また、近年、ペット用に日本に持ち込まれた手足の小さいアオジタトカゲなどの誤認に過ぎないとの指摘もある。実際、妊娠中の蛇をツチノコと勘違いして飼育していた例もあるという。

《参考文献》

Last update: 2021/09/24

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