セントエルモの火
分 類 | ヨーロッパ伝承 |
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St. Elmo's Fire(セント・エルモズ・ファイア)《聖エルモの火》【英語】 | |
容 姿 | 船のマストの上に現れる青白い炎。 |
特 徴 | 船乗りたちの守護聖人エラスムスが船を守護している。 |
出 典 | - |
守護聖人の青い炎、マストの上に踊る!?
セントエルモの火は船のマストに青い炎が灯る怪現象。セントエルモというのは、聖エラスムス(3~4世紀頃)のことで、ローマ帝国のディオクレティアヌス帝やマクシミアヌス帝に迫害された聖人である。エラスムスはシリアのアンティオキアの司祭だったが、斧で打たれる、ヘビのいる穴に放り込まれる、煮えたぎる油の中に放り込まれる、たくさんの針で突き刺される、歯を抜かれる、硫黄や鉛を口に流し込まれるなど、さまざまな拷問を受けたが、そのたびに天使たちがエラスムスを守護したため、生き続けた。最終的には、生きたまま腸を巻き取り機で巻き上げられて殉職したとされる。
後世、エラスムスが船に乗り合わせたとき、嵐に遭遇し、神に祈ると嵐が収まり、マストの上に青い炎が灯って踊り出したという伝承が生まれた。こうして、エラスムスは船乗りの守護聖人となった。実際、エラスムスはすぐ隣りに雷が落ちても説教を続けたと伝わっている。また、拷問で用いられた巻き上げ機も、本来は錨を巻き上げる機械であるため、船乗りと結びつけられている。
セントエルモの火は自然現象!?
大気中の静電気の量が増えると、尖った物体の先端に蓄積された静電気が放出され、持続可能な放電を起こす。これをコロナ放電現象と言う。嵐の船のマストの上などでこのような青白い炎が目撃されるのは、このコロナ放電現象であると考えられる。
《参考文献》
Last update: 2023/06/11