シントゥ・ナッ

分 類ミャンマー伝承
名 称 ရှင်တော်နတ်ʃɪ̀ɰ̃dɔ̀ naʔ〕(シントゥ・ナッ)【ミャンマー語】
容 姿ウチワと数珠を持った修行僧の姿の精霊。
特 徴16世紀のニャウンヤン王の息子。毒ヘビに咬まれて死んで、精霊ナッと化した。
出 典

若き修行僧、毒ヘビに咬まれて精霊と化す!?

シントゥ・ナッはミャンマー伝承に登場する37柱の精霊ナッの1柱である。

シントゥは16世紀の復興タウングー朝のニャウンヤン王(1555-1605年)の息子で、修行僧としてニャウンウーにあるンゲ・ピッ・タウン僧院(鳥撃ち山僧院)で暮らしていた。しかし、庭で遊んでいるときに毒ヘビに咬まれて若くして死に、その後、精霊ナッと化した。

なお、ビルマ族のタウングー朝はバインナウン王(1516-1581年)の時代に版図を最大に広げるが、急速にその領土を広げた結果、バインナウン王の死後、国内の有力者たちが対立し、混乱が生じた。それを収めてタウングー朝を復興させたのがバインナウン王の息子のニャウンヤン王と、さらにその息子のアナウペッルン王(1578-1628年)だった。

シントゥは、そんな復興タウングー朝の立役者であるニャウンヤン王の息子で、若くして死んだわけだが、どうして彼が37柱の精霊ナッの仲間入りを果たし、崇拝されるようになったのかは明確ではない。通常、巨大な芭蕉扇のようなウチワを持ち、片手に数珠を握り、黄色い袈裟をまとった若い修行僧の姿で描かれる。ちなみに、ミャンマーで神格化されている僧侶のシン・ティワリもウチワを持った僧侶姿で描かれるため、両者の関連が指摘されることもある。

《参考文献》

  • 『The Thirty-Seven Nats: A Phase of Spirit-Worship prevailing in Burma』(著:Sir Richard Carnac Temple,1906年)

Last update: 2023/03/05

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