山本五郎左衛門

分 類日本伝承
名 称 山本五郎左衛門(さんもとごろうざえもん)【日本語】
容 姿おそらく変幻自在で不明。3つ目の天狗の姿で描かれることが多い。
特 徴さまざまな妖怪を率いる魔王。
出 典『稲生物怪録』

魔王の座を賭けて争う妖怪の親玉!?

山本五郎左衛門(さんもとごろうざえもん)は『稲生物怪録』に登場する妖怪にして魔王。「山ン本五郎左衛門」という表記もある。『三次実録物語』では「山本太郎左衛門」と記述されている。なお、根岸鎮衛『耳嚢』では三本五郎左衛門(さんぼんごろうざえもん)と記述されている。

『稲生物怪録』によれば、寛延2年(1749年)に備後国三次(現:広島県三次市)で、16歳の稲生平太郎が肝試しに比熊山に登った。その後、さまざまな怪異が平太郎の住む屋敷を襲った。しかし、平太郎は屋敷から出ることなく、怪異をやり過ごした。こうして1か月が経つと、ようやく妖怪の親玉が袴を着た武士の姿で平太郎の前に出現し、山本五郎左衛門と名乗った。実は彼は魔王の頭の座を賭けて神野悪五郎(しんのあくごろう)とどちらが先に100人を驚かせられるかを競っていたと白状した。平太郎が一向に驚かないため、最初からやり直しであるなどと言って、妖怪たちを引き連れて去っていったという。以降、平太郎の屋敷に怪異は起こらなくなったというものである。

ちなみに、宮地水位『異境備忘録』(1928年)には魔界の12人の魔王が紹介されている。その中にも山本五郎左衛門と神野悪五郎は魔王として載っていて、造物大女王を筆頭として、第六が神野悪五郎、第七が山本五郎左衛門となっている。

《参考文献》

Last update: 2024/09/01

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