モー・ショボー

分 類モンゴル伝承
名 称 Муу шубуун(モー・ショボー)《悪しき鳥》【モンゴル語】
容 姿鳥の嘴(くちばし)を持った美しい少女。
特 徴恋愛をせずに死んだ少女の幽霊。嘴(くちばし)を袖で隠して旅人を誘惑し、脳髄を啜る。
出 典

旅人の脳髄を啜る吸血少女!?

モー・ショボーはモンゴルのブリヤート人の伝承に登場する魔物である。恋愛をする前に非業の死を遂げてしまった少女の魂がなる幽霊とされていて、長い髪の美しい少女の姿になって若い男性の旅人を誘惑する。ただし、口元だけは真っ赤で尖っていて、嘴(くちばし)のようになっているため、彼女たちは常に袖で口元を隠しながら旅人に接近する。そしてまんまと男性が油断すると、隙を見て鳥の姿に変身し、嘴(くちばし)で旅人の頭蓋骨をカチ割って脳髄を啜る。または肝臓を喰らうという。

狩人を狙ったモー・ショボーの物語

ハンガロフが収集した伝承では、狩人が森の中で野営していると、どこからともなく美しい女性が現れたという。狩人は彼女と随分長い間、談笑したが、彼女がずっと口元を隠しているので、途中で彼は「ははーん、この女の正体はモー・ショボーだな」と見抜いた。そして、彼女に「薪が足りないので集めてきてくれないか」とお願いした。彼女が野営所を離れたのを確認すると、狩人は急いで倒木をたき火の近くに置くと、上着を着せた。そして、自分は木の陰に隠れた。薪を集めて戻ってきた女性は、狩人が寝てしまったと勘違いして正体を現し、嘴(くちばし)で上着の掛かった倒木を突き刺した。その瞬間、狩人は木の陰から銃でモー・ショボーを撃ち殺した。退治されたモー・ショボーは、みるみるうちにただの骨(骨盤)になってしまったという。

現在ではマスクをすることが当たり前になっているので、口元をマスクで隠されてしまっては、相手の正体がモー・ショボーであると判断できない。モー・ショボーにとっては獲物を狙いやすい時代になったと言える。

《参考文献》

Last update: 2023/10/07

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