ゴーレム

分 類ユダヤ教
名 称 גולם(ゴーレム)《胎児》【ヘブライ語】
容 姿泥を捏ねてつくられた人形。
特 徴ラビの術でつくられ、単純な命令に従う。稀に暴走することもある。
出 典

ユダヤの魔術師レビたちがつくった人造人間!?

ゴーレムはユダヤ教の伝承に登場する動く泥人形である。ラビ(律法学者)が水と泥を捏ねてつくり、術によって自由自在に操る。魂や意思はなく、話すこともできないが、人の言うことは理解し、命令に忠実に従う。さながらロボットのような存在である。

羊皮紙に《真理》を意味するאמת(エメス)と書き記してゴーレムの額に貼ると動き出すとされ、「א」の一文字を消し、《死》を意味するמת(メス)に書き換えれば崩れ去る。使用にあたってはさまざまな制約があり、それを破ると暴走し、制御不能になる。

実際にゴーレムをつくった話!?

16世紀にポーランドのヘウムでラビのエリヤという人物がゴーレムを製造したという伝承が残されている。ゴーレムは製造後、どんどん巨大化していき、額に貼った羊皮紙に手が届かなくなった。このままでは宇宙を破壊してしまうのではないか。エリヤは自分の靴を脱がせるようにゴーレムに命令した。ゴーレムがしゃがんだ瞬間、額の文字を消すことができたという。しかし、伝説によっては、その瞬間、ゴーレムは崩れ落ち、エリヤは大量の粘土に押し潰されて圧死してしまったという。

同じ16世紀に、プラハでラビのレーヴなる人物がゴーレムを製造したとされる。しかし、レーヴは金曜日の夜、安息日(土曜日)が始まる前にゴーレムを停止し、働かないようにしていた。しかし、ある金曜日の夜にこの作業を忘れて、ゴーレムは暴走したという。その後、レーヴのつくったゴーレムは、シナゴーグ(ユダヤ教の会堂)の屋根裏部屋に保管されており、レーヴは後継者以外が屋根裏部屋に立ち入ることを禁じたという。

11世紀や12世紀にも、多くのラビたちがゴーレムをつくることに成功したという記録は残されている。

ちなみに『創世記』の中で、生命の息吹を吹き込まれる前の土人形だったアダムが最初のゴーレムなのだと解釈される場合もある。

《参考文献》

Last update: 2023/10/07

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