ガミジン

分 類魔法書文献、悪魔学
名 称 Gamigin(ガミギン),Gamygyn(ガミュギュン),Samigina(サミギナ)【ラテン語】
容 姿小さな馬の姿。
特 徴地獄の大侯爵。30個の悪霊の軍隊を率いる。一般学術を教える。罪人と溺死者の魂を呼び出して質問に答えさせる。
出 典『デーモン偽君主国』(1577年)、『ゴエティア』(17世紀)ほか

降霊術を専門とする悪霊!?

ガミギンはソロモン王が使役したとされる72匹の地獄の悪霊の1匹で、ヨーハン・ヴァイヤーの『デーモン偽君主国』や『レメゲトン』の第一部「ゴエティア」などの中世の魔法書文献に登場している。彼は地獄の大侯爵で、30個の悪霊の軍隊を支配下に置いているという。召喚者が呼び出すときには小さな馬、あるいは驢馬(ロバ)の姿で出現し、その後、術者が命じると、人間の姿に変身する。彼はしわがれた声で喋り、一般学術(リベラル・サイエンス)を教えてくれる。彼の特徴は何と言っても死者の魂との交信を可能にしてくれるところだ。彼は罪を犯して死んだ人間や溺死した人間の魂を現世に呼び起こし、術者が満足するまで質問に答えさせることができる。

『悪魔の偽君主国』のガミュギュン!?

魔術師アグリッパの弟子として知られるヨーハン・ヴァイヤーが著した『デーモン偽君主国』の中にガミギン(著作ではガミュギュン)の名前が登場するので引用しておく。

Gamygyn magnus Marchio: in forma equi parvi visitur: at ubi hominis simulachrum assumit, raucam edit vocem, de omnibus artibus liberalibus differens: efficit quoque, ut coram exorcista conveniant animæ in mari exeuntes, & quæ degunt in purgatorio (quod dicitur Cartagra, id est, afflictio animarum) & corpora aërea suscipiunt, apparentque evidenter, & ad interrogata respondent. Permanet apud exorcistam, donec ipsius votum expleverit. Triginta legiones in sua habet potestate.

ガミュギュンは大侯爵で、小さな馬の姿で現れる。人間の姿を取るときには彼はしゃがれた声で喋る。彼はあらゆる一般学術について議論する。彼はまた海で溺れた死者の魂や煉獄(これはカルタグラ、すなわち「魂の苦痛」と呼ばれる)に住む死者の魂を生じさせ、彼らは空気の身体、確かな姿を得て、術者の命令で質問者に答える。彼は術者の望みを満足させるまで術者の元に留まり続ける。そして彼は30個の軍隊を配下に置いている。

(ヨーハン・ヴァイヤー『デーモン偽君主国』より)

『ゴエティア』のガミギン!?

17世紀頃には成立していたと考えられている中世の魔法書『レメゲトン』の第1部「ゴエティア」にもガミギンの記述があるので引用しておく。引用はメイザースとクロウリィの版である。

SAMIGINA, or GAMIGIN. - The Fourth Spirit is Samigina, a Great Marquis. He appeareth in the form of a little Horse or Ass, and then into Human shape doth he change himself at the request of the Master. He speaketh with a hoarse voice. He ruleth over 30 Legions of Inferiors. He teaches all Liberal Sciences, and giveth account of Dead Souls that died in sin. And his Seal is this, which is to be worn before the Magician when he is Invocator, etc.

サミギナ、あるいはガミギン:4番目の悪霊はサミギナで、大侯爵である。彼は小さな馬、あるいは驢馬(ロバ)の姿で出現し、その後、術者の要求で人間の姿に変身する。彼はしわがれた声で喋る。彼は30個の地獄の軍隊を統率する。彼はあらゆる一般学術(リベラル・サイエンス)を教え、罪によって死んだ死者の魂の申し開きをする。これが彼の紋章であり、(悪霊を)召喚する際には、術者はこれを(胸飾りとして胸元に)身につけなければならない。

(『レメゲトン』「ゴエティア」より)

《参考文献》

Last update: 2011/07/02

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