悪天狗(アクテング)
分 類 | 日本伝承 |
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悪天狗(アクテング)【日本語】 | |
特 徴 | 修行僧の邪魔をして天狗道に引き込もうとする邪悪な天狗。 |
修行の邪魔をする邪悪な天狗!?
天狗といえば、赤い顔で、高い鼻を持ち、山伏の格好をして、一本下駄を履き、背中に翼をはやして空を舞う。そんなイメージがあるだろう。本来の天狗は中国に由来し、「天狗(あまきつね)」といって、流星のことだった。流れ星が落ちたところには山猫のような小動物がいるとされ、それを「天狗」と呼んだのである。やがて日本に入り、山岳信仰や修験道、仏教などと相俟って、いつしか上記のような鼻高天狗のイメージが生み出されていく。
悪天狗とか善天狗いうのは、仏教が生み出した天狗である。極楽に行くために修行を積んだため、法力はあるが、しかしながら、慢心や邪心などから悟ることができない。そんな人間が天狗道に落ち、天狗になると信じられるようになったのである。もともとの仏教は六道輪廻であり、天道、人間道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道の6つの道しかないわけであるが、鎌倉時代頃になると、『沙石集』(13世紀頃)に現れるように、新たな道として、天狗道なるものが考えられるようになったわけである。
悟ことができずに天狗道に落ちた者であっても、生前に良い心を持っていれば、善天狗となり、邪悪な心を持っていたものは悪天狗になるという。善天狗は他の修行僧たちの修行を密かに助け、危険な道のりを参詣(さんけい)にくる信者たちを守護するが、悪天狗は他の修行僧の邪魔をして、自分と同じような天狗道に引き込もうと狙っている。そして、心正しい信者たちを恐れさせるのである。
この解釈で行くと、天狗というのは、極楽を願いながら修行をし、しかし慢心や邪心から悟れなくなり、六道輪廻からはみ出してしまった悲しい存在といえる。
《参考文献》
- 『Truth In Fantasy 事典シリーズ 2 幻想動物事典』(著:草野巧,画:シブヤユウジ,新紀元社,1997年)
Last update: 2012/01/28