アブガル

分 類メソポタミア神話 
名 称 Abgal(アブガル)〔シュメール語〕
Apkallu(アプカッル)〔アッカド語〕
容 姿上半身が男性、下半身が魚。あるいは魚をまとった人間のような姿。
特 徴水の中から現れ、人類にさまざまな知識を与えた。

人類に文明を与えた魚人間!?

アブガルはシュメール神話に登場する魚人間。アッカド神話ではアプカッルと呼ばれる。古代メソポタミアでは、人魚のような姿の精霊や、魚をまとったような姿の精霊が数多く描かれている。アブガル、あるいはアプカッルもこのような魚人間で、多くの知識を持った賢人として描かれる。

神話では、淡水アプスーから生まれたとされ、シュメールの知恵の神であるエンキ神(アッカドのエア神)に祭司として仕えていたという。そして、エンキ神に遣わされ、まだ文化や文明を知らなかった人類にさまざまな知識を与えた存在とされている。7人のアブガルが存在しており、それぞれの時代の古代の王さまに、助言者として仕えていたとされ、7人をまとめて七賢人と呼ぶこともある。

占星術の中でしばしばウアン(Uan)、ウアンドゥガ(Uanduga) エンメドゥガ(Enmeduga)、エンメガラマ(Enmegalama)、エンメブルガ(Enmebuluga)、アネンリルダ(Anenlilda)、ウトゥ・アブズ(Utu-Abzu)の名前が挙げられる。ちなみにウアンはウ・アンナのこととされ、賢人アダパと同一視されている。

ベーローッソスが伝えるオーアンネースとは!?

これらのアブガルに関する詳細は伝わっていないが、紀元前3世紀頃のバビロニアの神官であるベーローッソスが著した『バビロニア誌』に記述されているὩάννης(オーアンネース)という魚人間についての記述が、アブガルの片鱗を伝えてくれている。オーアンネースは、ウ・アンナ(U-anna)のこととされており、七人いるアブガルの最初の存在である賢人アダパのことであると考えられている。

ベーローッソスによれば、オーアンネースはペルシア湾からやってきて、昼間は人間たちに文字を教え、都市や神殿を建てさせ、法律や幾何学などの知識、農業のやり方などを授けたという。そして、夜になると海に戻っていったという。

ほかにもたくさん。古代メソポタミアの魚人間!?

『エヌマ・エリシュ』の中で、女神ティアマトが生み出した11匹の怪物の中に、クルッルという半人半魚の怪物が存在する。また、『旧約聖書』には、古代パレスティナにおいて、ペリシテ人が崇拝していた神さまとして「ダゴン」という名前が挙げられている。このダゴンは魚の姿をした農耕神だったという。このように、古代メソポタミアでは、魚人間は非常にメジャーな存在だったようである。

《参考文献》

Last update: 2012/02/25

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