2023年11月21日 サンタ・システム
そろそろ息子のツクル氏にクリスマスプレゼントを決めてもらうシーズンになった。ツクル氏の誕生日が12月なのもあって、一気にプレゼントをもらう格好になるので、なかなか彼も決めあぐねている。LEGOマインクラフトシリーズや「マインクラフト・ダンジョンズ」(Switch)などを検討している。
早々にサンタクロースのプレゼントを決めて欲しくて「サンタには何を頼む?」と訊いてみたところ、ツクル氏はニヤニヤしながら「親に言わないとサンタには伝わらないわけ? 心で思ってみたら伝わらないのかな?」などと言ってくる。どうやら、彼はサンタの正体に気づき始めているのかもしれない。小癪な! 面妖な! そんなわけで、そろそろ卒業なのかもしれない。
妻のちぃ子にそんな話をしたら、「ん? 両親がサンタ・システムに加入して申請してやらないとプレゼントは届かない仕組みだよ? サブスク的な? 子供の意向だけでは届きません。そう説明すればよかったのに」と返されてしまった。むむむ。こちらもこちらで面妖な!!
ちなみに、サンタクロースの元ネタになったのは聖ニコラスだけど、彼には従者がいる。クネヒト・ルプレヒト、クランプス、ペレ・フェタール、ベルスニッケル、ズワルテ・ピートなどなど。どの面々も子供たちを罰する存在で、子供にプレゼントをあげる聖ニコラスと対になっている。クネヒト・ルプレヒトなんかはブラック・サンタとも呼ばれるし、クランプスは悪魔のような姿をしている。大昔は、子供に対する二面性があったのである。
来月のクリスマスに向けて、この辺の詳細を調べて、ウェブサイトファンタジィ事典に反映させてみても面白いかなあ。
2023年11月23日 禁断の果実
8月15日に日出づる処よりで紹介したEast of Eden。アニソンやボカロ曲を弾いてみたでお馴染みのヴァイオリニストのAyasa氏が、ベーシストのわかざえもんやギタリストのYukiなど、YouTubeで活躍するメンバーを集めて編成したバンドだ。待望の2曲目が発表された。面子が面子だけに、ともすれば、このまま1回限りの夢のプロジェクトとして終わってしまうかな、と思っていたら、アルバム発売の発表があって、2曲目のMVが公開された。
2nd 『This Moment』
1st 『Evolve』
1曲目の「Evolve」はダークでクラシカルな激しいロックだったが、2曲目の「This Moment」は前曲に比べるとポップで軽い。1曲目とは全然、違う方向性だけど、ヴォーカルの湊あかねの尖った、そして高い声が活かされているし、わかざえもんのベースが縦横無尽に駆け巡っていて面白い。このメンバーなら、いろんな楽曲がやれるよという可能性を提示しているような気がして、アルバムに期待を持てた。
前の記事でも書いたが、ボクはAyasaとわかざえもんは昔から知っていたが、ヴォーカルの湊あかねとか、ギタリストのYukiとか、ドラマーのMIZUKIは知らなかった。いろいろとSearchしてみた結果、わかざえもんもそうだけど、YukiとMIZUKIのYouTubeもとても面白いことが分かった。自然体でいろんなことを楽しんでいる姿が好感を持てる。特に音ゲーに興じるMIZUKIとかが、ドラムを叩いているときとは違う顔を見せていて、とても面白い。そういう意味では、YouTube上で発信をするとても今っぽいメンバーだと思う。
ちなみに、East of Edenというのは、カインがアベルを殺害した後、彷徨って辿り着いた土地のことである。そこにカインは都市を建設した。12月に発売のアルバムは『Forbidden Fruit』。これは禁断の果実なので、アダムが食べた知恵の実のことだろう。ファンクラブは「楽園」だ。何となく、キリスト教的な世界観を構築しようとしているのかもしれない。
ちなみに、前回、ボクが日出づる処よりというタイトルで彼女たちを紹介したのは、主宰のAyasa氏がその昔、「Sword of the Far East」というプロジェクトを立ち上げていて、その意味を「遥か東方の小さな島国に潜む剣」と説明していたことに由来する。East of Edenにも「East」の字があったので、きっと、「Sword of the Far East」のときと同じように、東の島国・日本を意識しているのだろうな、と思っているんだけど、どうだろう。「東」という言葉には、日出づる処より世界に向けて……という力強いイメージが、ボクの中にはある。
2023年11月25日 キャプテン・リノ!!
「キャプテン・リノ」で遊んでみた。2011年にドイツで作られたカードゲームだ。7枚の屋根カードが配られ、順番に手札の屋根カードを積み上げていく。屋根カードには指示が書かれているものもあり、手順を逆回りにしたり、相手に屋根カードを1枚引かせたり、スキップしたりする。そして、手札を屋根カードを全部積み切って、手札をなくしてしまったら勝ち。あるいは誰かがタワーを崩してしまったら負け。面白いのは、リノカード。このカードを出された次のプレイヤーは、キャプテン・リノの人形を屋根カードの上に乗せなければならない。
息子のツクル氏(小4)がキャッキャして遊んでいる。「ほら、パパー。キャプテン・リノ! キャプテン・リノ!! キャプテン・リーノー!!!」とリノカードを乗せてこちらを煽ってくる。クッソゥ。頑張って、下の段にいるリノを掴んで、そして最上階に乗せて……バラバラバラバラ……。タワーは無情にも壊れて、それを見てツクル氏はゲラゲラゲラ。
はらはらドキドキの連続で、もしかしたら、リノカードがときどき入ることで、メリハリが出来て、ジェンガよりも面白いかもしれないな、と思う今日この頃。
2023年11月27日 イトマキエイは空を飛ぶ!?
フィリピンの妖怪について調べていて、今、パティン・ナ・パクパカン(Pating na Pakpakan)をまとめている。空飛ぶサメの妖怪である。そして、アスワン・プロジェクトの記事に、実はパティン・ナ・パクパカンは「マンタ」がモデルではないかと書かれていて、マンタについて調べてみたら、マンタが空を飛んでいた。マジか! イトマキエイって、空まで飛ぶのか。是非、ナショジオの映像でご確認ください。
ボク的には、イトマキエイがものすごい数の群れで泳いでいるシーンに度肝を抜かれて、こんなのに遭遇したら、失神してしまうと思った。でも、たくさんのイトマキエイが空を飛んでいるのを目の当たりにして、さらに度肝を抜かれた。知らないことってたくさんあるのだなあ。妖怪について調べていて、生命の不思議にぶち当たった日だ。
2023年11月29日 峠を越えた!?
毎年のことながら、この時期は1月に向けて、雑誌作成に余念がない。でも、ようやくその終わりが見えてきて、ほっと一息をついている。今回は絵をたくさん描いた。妖怪の絵だ。相変わらず、iPhoneとタッチペン、Clip Studio PAINTでのお描きだ。かなり慣れてきて、小さなモニタながらも、それなりの絵が描けるようになってきた。そんなわけで乞うご期待だ。
これで、少しだけ「ファンタジィ事典」にエネルギーを振り分けられるだろうし、落ち着いて「日々の雑記」を書けるようになる……といいなあ(遠望)。さてはて。
2023年12月1日 ポケモン×初音ミク
9月からポケモンと初音ミクがコラボしている。その第1弾としてDECO*27氏の「ボルテッカー」が公開され、その後、第2弾、第3弾……と稲葉曇氏、Mitchie M氏、ピノキオピー氏が続いている。第5弾はcosMo@暴走P氏で本日(12/1)、動画が公開されるはずだ。ポケモンも初音ミクも日本が誇るカルチャーなので、このコラボそのものは素敵だし、参加しているボカロPもそうそうたる顔触れだ。DECO*27氏は万人受けするキャッチーながらも変則的な楽曲で、稲葉曇氏は珍しくポップで、Mitchie M氏の楽曲は相変わらず人間が歌っているみたいに調教されているし、キノピオピー氏は感動的に仕上げている。
それにしても驚くべきはDECO*27氏の「ボルテッカー」だ。1,000万再生を突破している。プロのミュージシャンだって、YouTubeで1,000万再生を越えるのはなかなか難しいのに、DECO*27はボカロ曲で1,000万再生を突破していく。他の3曲も200万再生は軽く突破している。これだって凄いことだ。もちろん、それぞれの置かれている状況は異なる。ミュージシャンはCDやダウンロードがメインで、必ずしもストリーミング再生が本流ではないのかもしれない。それでも、勝負の相手は初音ミクなのだ。歌っているのは機械なのだ。YouTubeという世界において、たくさんの人間の歌い手たちが初音ミクに再生数で負けてしまう。物凄いことが起こっているよなあ。2007年に初音ミクが登場したときには、そんな未来は想像もしなかった。みんなが初音ミクを楽しんでいる。そういう時代である。
4曲を聴き比べるだけでも、同じ初音ミクという素材がボカロPによって全然、異なる表情を見せることが分かるはずだ。Pによって個性が出る。ボク個人としては、一番、初音ミクをかわいく見せるのはサイゼPだと思うので、このコラボにサイゼPも参加してくれればいいのに。そして、おそらく本日アップされるcosMo@暴走P氏も素敵な初音ミクの歌声を届けてくれることだろう。ああ。楽しみだ。
(※ 記事を投稿した時点ではcosMo@暴走P氏の「戦闘!初音ミク」はプレミア公開待ち)
2023年12月3日 初音ミクとVOCALOIDについて語る(その1)
ポケモン×初音ミクのプロジェクトで、cosMo@暴走Pの「戦闘!初音ミク」が公開された。ポケモン赤・緑のBGMが随所に散りばめられている。しかもゲンガーとニドリーノが対峙している。ここはいろいろとネタを孕んでいて面白い。そして、楽曲中でモンスターボールを握って黒ミクに挑戦する初音ミクとそれに応える黒ミクも、ストーリー性があってとてもいい。歌詞だけでなく映像も含めて作品に仕上げてくるのが暴走Pである。その上、何となく「初音ミクの消失」を彷彿とさせるところも、機械としての初音ミクに改めて原点回帰しているところも、暴走Pらしさ全開で、ボクはとても感動している。
初音ミク関連で言うと、初音ミクが発売されたのは2007年だけど、ヤマハがVOCALOIDという音声合成技術を開発したのは2003年のことだ。それが製品化されたのは2004年で、最初は日本ではなくてイギリスで発売されている。1月にLEONとLOLAが発売された。英語のソフトだ。7月にMIRIAMが発売された。満を持して日本語版が発売されたのは11月。MEIKOだ。それから2006年に男性の歌声としてKAITOが発売された。つまり、初音ミクは日本語のVOCALOIDとしては第3弾と言える。そしてこのときまでは、VOCALOIDはキャラクターではなく、あくまでも女性の声のMEIKOと男性の声のKAITOというイメージだった。
2007年8月に初音ミクが発売されたときのことをボクはよく覚えている。水色のツインテールの女の子のアイコンが全面に推し出されていて、「あなたがプロデュースできるバーチャル・シンガー」というキャッチコピーみたいなものがついていた。レコードショップでも大々的に宣伝を打っていて、本気のプロモーションだった。この頃って、浜崎あゆみとか椎名林檎とか、セルフプロデュースアーティストの時代に移行していて、TKプロデュースやつんくプロデュースがちょっと下火になっていた頃だったけれど、ボクたちはTKやつんくを見て育った世代なので、音楽プロデューサというものに対する憧れがあったと言えばあったと思うし、懐かしさがあった。だから、単なる音声合成技術ではなくて、バーチャル・シンガーをプロデュースするという企画はとても魅力的だった。そんなことを「戦闘!初音ミク」を聴きながら、思い出しているボクである。
2023年12月5日 初音ミクとVOCALOIDについて語る(その2)
前回、初音ミクについて語ったわけだけど、当時、VOCALOIDにはいろんな可能性があった。たとえば、人間の女性が歌ってくれないようなド下ネタを歌わせるとか、過激な言葉(「殺す」とか「死ね」みたいな)を歌わせるみたいな方向性もあった。アーティストが歌ったら売れないネタ満載の歌をミクに歌わせるという芸風も流行った。それから、初音ミクがプログラムであるという設定を活かして、歌っているうちにミクが心を持つとか、逆に何を歌っても所詮、ミクは機械であるとか、人間のコピーだとか、プログラムエラーで暴走するとか、飽きられて捨てられるとか、そういう初音ミクそのものを題材にした歌も流行った。技術的に人間が歌えないような曲として、超高速で歌うとか、難解な転調を繰り返すとか、超ハイトーンとか、一気に音階を駆け上がるみたいな、人間業ではない歌わせ方をするアプローチもあった。初音ミクから派生キャラクターとして、弱音ハクとか亞北ネルなどが生まれ、彼らを軸にした物語とか世界観が出来上がって、彼らのキャラクターソングっぽい歌も流行った。いずれの可能性も、全て「初音ミク」あるいはVOCALOIDだからこそのアプローチだった。
初音ミクのヒットにとって幸いだったのは、当時、FLASHアニメが黄金期だったこともあると思う。2000年代前半、2ちゃんねらーを中心に、アスキーアートの「モナー」や「ギコ猫」をベースに、FLASHの技術でたくさんのネタ動画が投稿されていて、「もすかう」が爆発的にヒットしていたのがちょうど2005年だった。「もすかう」はドイツのジンギスカンというグループが歌った「モスクワ」の空耳をネタにした動画だった。こういう風に、当時のネット文化の中には、ネタを織り交ぜながら、既存の楽曲に笑える動画を当てる文化が流行っていた。そういうアニメーションを作れる職人たちがたくさんいた。そして、2005年にYouTube、2006年にニコニコ動画がサービスを開始して、FLASH動画のように個人サイトに動画を掲載する文化は緩やかに終わりを告げて、YouTubeやニコニコ動画などのプラットホームに動画をアップロードしてシェアする時代がやってきた。そんな時代背景の中で、初音ミクが生まれて、ここまで普及したと評価できる。
2023年12月29日 復活!?
久しぶりの投稿! 隔日更新と称して2日おきに投稿してきて、12月に入って3週間とちょっと、更新が途絶えた。手が腱鞘炎になってパソコンが全然打てない問題もあったし、年の瀬で仕事が押していたのもあった。それから、立て続けに体力仕事が続いて、グロッキーになっていたのと、息子のためのクリスマスパーティの準備でおおわらわだったのもあった。いろんなことがあって、サボってしまった(>人<;)
それでも、新年に向けて、毎年の雑誌の準備は順調にできていて、12月の頭には入稿できて、準備万端、印刷待ちの状態だった。新年に合わせてお届けできる見通しだ。フィリピンの妖怪特集を組んだので、乞うご期待。フィリピンの妖怪の絵も6体ほど描いたので、年が明けたら順次、リリースできる予定だ。
今日は息子のツクル氏とスキーを満喫した。腱鞘炎の手でストックを握るので、結構ダメージを負っているが、まあ、あまりストックに頼らない滑りを満喫したぜ!
2023年12月31日 フィリピンの妖怪を可視化する【1】マナナンンガル
先般から予告していたとおり、フィリピンの妖怪をイラストに描き起こすプロジェクトを開始してみる。フィリピンの妖怪は日本ではまだまだ知名度はそれほど高くない。こういうマイナな妖怪をイラストにしてイメージを喚起することで、日本でフィリピンの妖怪の認知度を上げていこうという試みだ。これがうまく行けば、他の国の妖怪にも水平展開していきたい。
本日はその第1弾として、マナナンガルのイラストを投稿してみよう。
フィリピンの妖怪と言えば、やっぱり最も有名なのはマナナンガルだ。夜になると上半身と下半身を切り離して空を飛び、獲物を探して飛び回る。そして胎児を啜る。
結構、フィリピンの妖怪は胎児や妊婦を狙うことが多い。実はインドネシアにも多い。日本だと、産女(ウブメ)なんかのイメージが近いかもしれない。今でも妊娠・出産で亡くなることはあるけれど、昔はもっとずっと多かっただろう。こういう痛ましい死や、ある種の妊娠・出産に伴う死への恐れから、こういう妖怪が生まれるのかもしれない。