2023年12月1日 ポケモン×初音ミク

9月からポケモンと初音ミクがコラボしている。その第1弾としてDECO*27氏の「ボルテッカー」が公開され、その後、第2弾、第3弾……と稲葉曇氏、Mitchie M氏、ピノキオピー氏が続いている。第5弾はcosMo@暴走P氏で本日(12/1)、動画が公開されるはずだ。ポケモンも初音ミクも日本が誇るカルチャーなので、このコラボそのものは素敵だし、参加しているボカロPもそうそうたる顔触れだ。DECO*27氏は万人受けするキャッチーながらも変則的な楽曲で、稲葉曇氏は珍しくポップで、Mitchie M氏の楽曲は相変わらず人間が歌っているみたいに調教されているし、キノピオピー氏は感動的に仕上げている。

それにしても驚くべきはDECO*27氏の「ボルテッカー」だ。1,000万再生を突破している。プロのミュージシャンだって、YouTubeで1,000万再生を越えるのはなかなか難しいのに、DECO*27はボカロ曲で1,000万再生を突破していく。他の3曲も200万再生は軽く突破している。これだって凄いことだ。もちろん、それぞれの置かれている状況は異なる。ミュージシャンはCDやダウンロードがメインで、必ずしもストリーミング再生が本流ではないのかもしれない。それでも、勝負の相手は初音ミクなのだ。歌っているのは機械なのだ。YouTubeという世界において、たくさんの人間の歌い手たちが初音ミクに再生数で負けてしまう。物凄いことが起こっているよなあ。2007年に初音ミクが登場したときには、そんな未来は想像もしなかった。みんなが初音ミクを楽しんでいる。そういう時代である。

4曲を聴き比べるだけでも、同じ初音ミクという素材がボカロPによって全然、異なる表情を見せることが分かるはずだ。Pによって個性が出る。ボク個人としては、一番、初音ミクをかわいく見せるのはサイゼPだと思うので、このコラボにサイゼPも参加してくれればいいのに。そして、おそらく本日アップされるcosMo@暴走P氏も素敵な初音ミクの歌声を届けてくれることだろう。ああ。楽しみだ。

(※ 記事を投稿した時点ではcosMo@暴走P氏の「戦闘!初音ミク」はプレミア公開待ち)

  

2023年12月3日 初音ミクとVOCALOIDについて語る(その1)

ポケモン×初音ミクのプロジェクトで、cosMo@暴走Pの「戦闘!初音ミク」が公開された。ポケモン赤・緑のBGMが随所に散りばめられている。しかもゲンガーとニドリーノが対峙している。ここはいろいろとネタを孕んでいて面白い。そして、楽曲中でモンスターボールを握って黒ミクに挑戦する初音ミクとそれに応える黒ミクも、ストーリー性があってとてもいい。歌詞だけでなく映像も含めて作品に仕上げてくるのが暴走Pである。その上、何となく「初音ミクの消失」を彷彿とさせるところも、機械としての初音ミクに改めて原点回帰しているところも、暴走Pらしさ全開で、ボクはとても感動している。

初音ミク関連で言うと、初音ミクが発売されたのは2007年だけど、ヤマハがVOCALOIDという音声合成技術を開発したのは2003年のことだ。それが製品化されたのは2004年で、最初は日本ではなくてイギリスで発売されている。1月にLEONとLOLAが発売された。英語のソフトだ。7月にMIRIAMが発売された。満を持して日本語版が発売されたのは11月。MEIKOだ。それから2006年に男性の歌声としてKAITOが発売された。つまり、初音ミクは日本語のVOCALOIDとしては第3弾と言える。そしてこのときまでは、VOCALOIDはキャラクターではなく、あくまでも女性の声のMEIKOと男性の声のKAITOというイメージだった。

2007年8月に初音ミクが発売されたときのことをボクはよく覚えている。水色のツインテールの女の子のアイコンが全面に推し出されていて、「あなたがプロデュースできるバーチャル・シンガー」というキャッチコピーみたいなものがついていた。レコードショップでも大々的に宣伝を打っていて、本気のプロモーションだった。この頃って、浜崎あゆみとか椎名林檎とか、セルフプロデュースアーティストの時代に移行していて、TKプロデュースやつんくプロデュースがちょっと下火になっていた頃だったけれど、ボクたちはTKやつんくを見て育った世代なので、音楽プロデューサというものに対する憧れがあったと言えばあったと思うし、懐かしさがあった。だから、単なる音声合成技術ではなくて、バーチャル・シンガーをプロデュースするという企画はとても魅力的だった。そんなことを「戦闘!初音ミク」を聴きながら、思い出しているボクである。

  

2023年12月5日 初音ミクとVOCALOIDについて語る(その2)

前回、初音ミクについて語ったわけだけど、当時、VOCALOIDにはいろんな可能性があった。たとえば、人間の女性が歌ってくれないようなド下ネタを歌わせるとか、過激な言葉(「殺す」とか「死ね」みたいな)を歌わせるみたいな方向性もあった。アーティストが歌ったら売れないネタ満載の歌をミクに歌わせるという芸風も流行った。それから、初音ミクがプログラムであるという設定を活かして、歌っているうちにミクが心を持つとか、逆に何を歌っても所詮、ミクは機械であるとか、人間のコピーだとか、プログラムエラーで暴走するとか、飽きられて捨てられるとか、そういう初音ミクそのものを題材にした歌も流行った。技術的に人間が歌えないような曲として、超高速で歌うとか、難解な転調を繰り返すとか、超ハイトーンとか、一気に音階を駆け上がるみたいな、人間業ではない歌わせ方をするアプローチもあった。初音ミクから派生キャラクターとして、弱音ハクとか亞北ネルなどが生まれ、彼らを軸にした物語とか世界観が出来上がって、彼らのキャラクターソングっぽい歌も流行った。いずれの可能性も、全て「初音ミク」あるいはVOCALOIDだからこそのアプローチだった。

初音ミクのヒットにとって幸いだったのは、当時、FLASHアニメが黄金期だったこともあると思う。2000年代前半、2ちゃんねらーを中心に、アスキーアートの「モナー」や「ギコ猫」をベースに、FLASHの技術でたくさんのネタ動画が投稿されていて、「もすかう」が爆発的にヒットしていたのがちょうど2005年だった。「もすかう」はドイツのジンギスカンというグループが歌った「モスクワ」の空耳をネタにした動画だった。こういう風に、当時のネット文化の中には、ネタを織り交ぜながら、既存の楽曲に笑える動画を当てる文化が流行っていた。そういうアニメーションを作れる職人たちがたくさんいた。そして、2005年にYouTube、2006年にニコニコ動画がサービスを開始して、FLASH動画のように個人サイトに動画を掲載する文化は緩やかに終わりを告げて、YouTubeやニコニコ動画などのプラットホームに動画をアップロードしてシェアする時代がやってきた。そんな時代背景の中で、初音ミクが生まれて、ここまで普及したと評価できる。

  

2023年12月29日 復活!?

久しぶりの投稿! 隔日更新と称して2日おきに投稿してきて、12月に入って3週間とちょっと、更新が途絶えた。手が腱鞘炎になってパソコンが全然打てない問題もあったし、年の瀬で仕事が押していたのもあった。それから、立て続けに体力仕事が続いて、グロッキーになっていたのと、息子のためのクリスマスパーティの準備でおおわらわだったのもあった。いろんなことがあって、サボってしまった(>人<;)

それでも、新年に向けて、毎年の雑誌の準備は順調にできていて、12月の頭には入稿できて、準備万端、印刷待ちの状態だった。新年に合わせてお届けできる見通しだ。フィリピンの妖怪特集を組んだので、乞うご期待。フィリピンの妖怪の絵も6体ほど描いたので、年が明けたら順次、リリースできる予定だ。

今日は息子のツクル氏とスキーを満喫した。腱鞘炎の手でストックを握るので、結構ダメージを負っているが、まあ、あまりストックに頼らない滑りを満喫したぜ!

  

2023年12月30日 青天の霹靂!?

息子のツクル氏、父仕込みのトランプマジックを見事に実演する。それなのに今朝「パパ、ボクは普通のトランプゲームをやったことがないんだよ」と呟かれる。ガーン!!

  

2023年12月31日 フィリピンの妖怪を可視化する【1】マナナンンガル

先般から予告していたとおり、フィリピンの妖怪をイラストに描き起こすプロジェクトを開始してみる。フィリピンの妖怪は日本ではまだまだ知名度はそれほど高くない。こういうマイナな妖怪をイラストにしてイメージを喚起することで、日本でフィリピンの妖怪の認知度を上げていこうという試みだ。これがうまく行けば、他の国の妖怪にも水平展開していきたい。

本日はその第1弾として、マナナンガルのイラストを投稿してみよう。

フィリピンの妖怪と言えば、やっぱり最も有名なのはマナナンガルだ。夜になると上半身と下半身を切り離して空を飛び、獲物を探して飛び回る。そして胎児を啜る。

結構、フィリピンの妖怪は胎児や妊婦を狙うことが多い。実はインドネシアにも多い。日本だと、産女(ウブメ)なんかのイメージが近いかもしれない。今でも妊娠・出産で亡くなることはあるけれど、昔はもっとずっと多かっただろう。こういう痛ましい死や、ある種の妊娠・出産に伴う死への恐れから、こういう妖怪が生まれるのかもしれない。