2025年1月12日 朝鮮半島で一括り

「ベトナムの妖怪」と「朝鮮の妖怪」を更新してみた。

ベトナムの妖怪は「クイモッゾー」。一本足で毛むくじゃら。森の中を跋扈する妖怪だ。タイの森にはピー・コンコーイがいるし、日本の山の奥には「山精」がいる。どちらも一本足だ。森や山の奥深くには、こういう一本足の妖怪が潜んでいるのかもしれないなあ。

朝鮮の妖怪として今回、チョイスしたのは「シンギウォンヨ」だ。「バラバラの実」を食べたバギーみたいな妖怪で、天井の梁に姿を現し、ボトリ、ボトリと手や足、頭などがバラバラになって降ってくる。想像するにとても怖い。そして、それを見た人は驚いて死に至ることもある。

ちなみに「朝鮮の妖怪」については全体的にかなり改訂した。もともとは「韓国の妖怪」というタイトルで打ち出していたし、妖怪の名称の原語も「韓国語」という風に表現していた。でも、最近、韓国の歴史とか韓国語をよくよく勉強してみると、どうも「韓国」という定義は厳密ではないっぽいと印象を受けた。もっと大きな括りで「朝鮮」にしてやらないと、歴史的につながっていかないし、言葉だって、厳密には韓国語ではなくて朝鮮語だ。韓国語としてしまうと、それなら北朝鮮で話されている言葉は何なのだという問題が生じる。たまたま現代の我々に馴染みがある国が韓国なのであって、韓国で話されている言葉を学んでいるだけだ。

そんなわけで、ウェブサイト「ファンタジィ事典」では、「韓国の妖怪」を改め「朝鮮の妖怪」とし、韓国語を改め朝鮮語とした。別に韓国を軽んじているわけではない。「韓国の妖怪」と限定してしまうと「北朝鮮の妖怪」も定義しなければいけなくなる。でも、それって大部分が同じものである。

たとえば、キジムナーを「沖縄の妖怪」として捉えるか「日本の妖怪」と捉えるか、コロポックルを「北海道の妖怪」と捉えるか「日本の妖怪」と捉えるか。まあ、ね。厳密には昔は沖縄には琉球王国があったし、北海道にはアイヌの人々が暮らしているわけで、歴史的にも文化的にも違いがある。でも、今は日本だ。朝鮮半島だって、韓国と北朝鮮に分かれているけれど、第2次世界大戦の前はひとつの国だった。李氏朝鮮という国だった。もっと遡れば、新羅、百済、高句麗に分かれていた。そういう意味では、朝鮮半島を一括りにした方が妖怪を整理しやすいんだと思う。