2025年1月8日 文脈を補う難しさ
ウェブサイト「ファンタジィ事典」を更新する際に、どの妖怪を選んで調査し、更新するかというのは、常々、悩むところだ。そこで、『Truth In Fantasy 事典シリーズ 2 幻想動物事典』(著:草野巧,画:シブヤユウジ,新紀元社,1997年)をランダムに開いて、そのページに出てきた最初の妖怪を更新するというやり方を採用することも多い。何を更新するか考えるのが結構、面倒くさいので、こうやってシステマティックにやることで、考える手間が省けるので、手が止まることなく、黙々と作業ができる。
一方で、それとは別に、東南アジアの妖怪を更新する際には、恣意的に選んでいく作業が必要になる。結構、面倒臭いので、サボりがちになる。これではいかんと思って、久々に「ベトナムの妖怪」の「マーザウ」を更新した。決して、東南アジアの妖怪シリーズをやめたわけではないのだ、というアピールだ。
さて、結構、東南アジアの妖怪は資料が少ないので、多少は想像で補ってやる必要が生じる。たとえば、現地の人にとっては当たり前の感覚とか習慣、文化みたいなものが、日本人であるボクたちには分からない。地理とか歴史も分からない。そういうのが文章で省略されている可能性もある。あんまり、現地の感覚から外れると嫌なので、必死になって行間を読む努力をするし、いろいろと別の文献を調査して、想像力を高めてやる必要もある。そうやって補って、何とか形にしている。
最近、『ダンダダン』がアニメ化されて、海外に輸出されているが、モモの友人のムーコ(原作だとケイなんだけど)がどこまで海外で正しく理解されているかは謎だ。ボクたち日本人はムーコを見ると、ガングロとかヤマンバとか、当たり前に「ギャル」だと認識する。でも、多分、海外の人はムーコが何なのかよく分からないのではないか。一部ではポリコレの主張のネタにされて、ムーコは黒人の声優が担っている。実は、息子のツクル氏も、ガングロとかヤマンバという文化が分からないので、ムーコがよく理解できないらしい。
つまり、こういうことが東南アジアの妖怪を調査するときにも生じるわけだ。フィリピン人やベトナム人、タイ人にとっての常識が、ボクたちには常識じゃない。認識のズレやギャップがあって、うまく翻訳できていない可能性はある。そういうのを、どこまで想像力で補えるか。そんな挑戦を常々、やっている。
ちなみに、ボクが東南アジアの妖怪を日本語に翻訳して紹介すると、あっという間にピクシブ百科に転載される。ボクはこういう妖怪たちの知名度が上がることを願っているので、まあ、よいのだけれど、でも、正しさの保証はないので、大丈夫かな、と心配になる。現地の人からしたら、それこそ「ムーコは黒人」みたいな全く的外れな解説になっている可能性だってあるのだ。