2023年10月12日 ウェブ2.0と妖怪の話!?
今年度になって、異動があって、仕事の方は肉体労働が続いている。慣れないもので、筋肉痛で身体が悲鳴を上げている。ちょうど仕事と仕事の間に休めるタイミングができたので休んで、ウェブサイト「ファンタジィ事典」の更新に勤しむ。
先般まで「フィリピンの妖怪」や「モンゴルの妖怪」に手を出していた癖に、今日は今日で「韓国の妖怪」を追加している。飽き性で移り気なボクである。韓国の妖怪に関しても、少しずつ韓国語のウェブサイトが増えてきた印象だ。韓国人が自国の妖怪を整理して、ウェブサイトに情報をアップしてくれている。どの程度、正確なのかは分からないが、日本人がまとめるウェブサイトよりは、その国の人がまとめてくれるウェブサイトの方が、現地の温度感もあって、信憑性がある。
日本は幸いなことに、近代化が進んでいく最中に、民俗学というジャンルの中で、民話の収集や妖怪の語彙収集みたいなものを民俗学者たちがやってくれた。イギリスでも、妖精の民話を収集する研究者たちがたくさんいた。お陰で、いろんな伝承がちゃんと記録に残されているし、書籍もたくさん出されている。近代化が進んでしまうと、お化けや妖怪の類いは迷信になってしまって、語る人がいなくなってしまう。そうなると、たくさんの貴重な情報が散逸する。
今はインターネットの時代である。いろんな情報がオンライン上で集約できるようになって、各地の伝承が整理統合されるようになってきたと言えるのかもしれない。ちょうど、フィリピンでアスワン・プロジェクトが始まり、韓国でトッケビ復興プロジェクトが起こったりして、いろんな情報がデジタル化されて、可視化されている。その流れの中で、愛国心とか民族復興みたいな意識も働いて、妖怪を掘り起こす人が現れているのかもしれない。
ボクの勝手なイメージだと、韓国はかなり近代化が進んでいる国だと思っている。韓流映画でも、早い段階で最先端の電子機器を駆使する若者たちが描かれていた。地方部はともかくとしても、都市部の近代化は早かったはずだ。だから、今になって大昔の韓国の妖怪を拾い出すのは難しいかもしれないなあ、と勝手に思っていた。でも、韓国の古い文献がデジタル化されてオンライン上にアップされ、多くの人がそれを読めるようになった。そこで掘り起こされる妖怪もいるだろう。韓国人は愛国心が強いので、中国や日本の文脈とは切り離した韓国オリジナルの妖怪を探そうとする気持ちも、もしかしたら一役買っているかもしれない。加えて、韓国は日本と同じくらいに都市伝説的なものに妖怪が出現する(アメリカのアーバン・レジェンドはぞっとするオチがメインで「妖怪」っぽい感じではない!)。そういう新しい妖怪がどんどん生み出され、収集されているのも、とてもよいと思う。