2023年1月21日 『古事記』だけじゃなくて『日本書紀』も読まなきゃ!?

最近、精力的にウェブサイト「ファンタジィ事典」「日本神話」を更新している。日本神話と言えば『古事記』だとずっと思い込んでいた時期があって、『古事記』をベースに更新していた。何故なら、『古事記』を軸に神話を解説している二次的な文献が多かったからだ。でも、最近になって、『日本書紀』を読んでみて、いやいや、『古事記』をベースにしていてはいけないのではないかと思い直した。

『日本書紀』にはなくて、『古事記』だけに登場する神やエピソードがたくさんあって、おそらく、こういうのは『古事記』の編纂者(要するに、天武天皇になるわけだが)がかなり意図的に書かせた部分だ。『古事記』にしても『日本書紀』にしても、一応、天武天皇が命じてまとめさせたことになっている。上納された年も、8年しか変わらない。それなら、どうして2つの書物が同時並行的に書かれたのかはよく分からないらしい。でも、天武天皇と言えば、日本の土着文化の掘り起こしに精を出していた人物だ。日本に古くからあった伝統的な神話や祭りなどを掘り起こして、整理しようという精神が彼の中にはあったはずだ。『古事記』にはそういう側面が強く打ち出されているのだろう。

一方で、『日本書紀』は複数の編纂者の合議制で編纂されていて、客観的にまとめられていると言える。中国の文献をモティーフにした表現も多い。想像だけれど、たくさんの知識人たちがああでもないこうでもないと整理したのだろう。だから、『古事記』よりも編纂に時間が掛かった。そういうことなのだろう。

その辺の2つの書籍のギャップを感じながら神話を整理する方が、本当は意味があるのではないか。最近になって、そんなことを思い始めた。だから、『古事記』と『日本書紀』を両方とも参照しながら、もう一度、日本神話の項目を再構築している。