2025年5月23日 絵文字の歴史2:感情を伝えるには顔のシンボルが必要だ

5月21日の絵文字の歴史1:ファンタジィ事典の多言語化の記事の続き。

そもそも「絵文字」の話をする前に、絵文字前夜として「顔文字」の話をしてみたい。顔文字の誕生は1982年だとされている。最初の顔文字は「:-)」と「:-(」。笑った顔とむっつりした顔の2つである。

当時は現在のようなインターネットはなくて、会社や大学が独自のネットワークをそれぞれ構築していた。大学同士はかなりネットワークが繋がっていて、掲示板を介して大学間でやりとりがされていた時代だ。学生と教授、あるいは研究者同士で、掲示板上で意見交換をすると、頻繁に喧嘩になるという状況が起こっていたようだ。そこで、カーネギーメロン大学のファールマン(大学の情報科学の研究者)が顔文字の導入を提唱したのだそうだ。文字だけだと、それが冗談なのか本気なのか分からない。そのせいで喧嘩になる。冗談のときは笑った顔、マジな話のときはむっつりした顔。そうすると、掲示板上の喧嘩が減ったのだとか。文字だけだと気持ちが伝わらない。感情を伝えるのに、顔のシンボルが必要だということが判明したわけである。

顔文字は英語では「Emoticon(エモーティコン)」と命名された。emotion(感情)とicon(アイコン)のカバン語である。その後、日本で「絵文字」が発達していって、世界中で「Emoji(イーモジ)」として受け容れられていくわけだが、「絵文字」もemotion(感情)やemoticon(顔文字)と結びついていくので、素晴らしい偶然である。

ちなみに、日本では「(^_^)」が投稿されたのが最初で、1986年のことだったようだ。アメリカの顔文字は「口」で感情を表現し、日本の顔文字は「目」で感情を表現しがちだという論文もある。