2023年6月22日 中田敦彦が逃げたのか、松本人志が逃したのか!?
ちょっと前まで、中田敦彦氏が巷を賑わせていた。少しだけその熱狂も落ち着いてきたので、ボクの思ったことを書こうと思う。
基本的には、今回の中田敦彦氏の発言は無礼である。先輩に盾突いたのだから、当然、無礼なやつだと批判されるのは、ボクは致し方ないと思う。芸能界に限らず、どんな業界でも、立場のある人に噛みつくのは、基本的には無礼である。だから、ボクはビックリした。折角、教育系Youtuberとして優秀でやり手というブランディングしてきたのに「無礼」という色がつくのは、あんまり得策ではないし、それで離れてしまうファンもいるだろうな、と想像する。
ただ、実はボクの論点はそこではない。その後の各方面の反応が、ボクとしてはとても面白かった。ボク個人は、世代間の大きな分断を感じた。年配の世代はあっちゃんの動画に大真面目に向き合って、必要以上に松ちゃんを擁護し、あっちゃんに批判的なコメントを出した。一方で、比較的若い世代は、これは盛り上がるぞとばかりにネタにして、どんどんエンタメ化していった。この世代間の分断をどう捉えるかで、将来的なメディアの捉え方が変わるのではないかと思う。
SNSが浸透して、個人で思ったことをどんどん発信できる時代になった。そうすると、正直であること(あるいは正直であると見せかけること)が求められる。建前と本音でいうところの「本音」の部分を、みんな、聞きたがるわけだ。今までだったら、作りこまれた芸能人でよかったが、今は素の自分(あるいは素っぽく見せた自分)で勝負する時代になる。だけど、ブランディングが大事だから、本当のところは本音を言ってはいけない。ファンが喜ぶこと、求めていることを嗅ぎ取って、それっぽく言わなきゃいけない。若者たちは、そういう発信方法にとても慣れている。
もうひとつは、瞬発力だ。何かが起こったときに即座に反応する速さみたいなものも求められている。旬の話題に飛びついて、そこに乗っかって集客する方法を、若者たちは理解している。だから、あっちゃんの提言動画があがった瞬間に、若い世代は、どうやってこれをいじって再生数を稼ぐかを瞬間的に考え、企画して、実行したはずだ。それがSNS時代のエンタメの形だ。一方、年配の世代は大真面目に論じて、中田批判をした。
松ちゃんがTwitterで「テレビとかYouTubeとか関係なく2人だけで話せばいいじゃん 連絡待ってる!」と呟いて、年配の人たちは「松ちゃんがあっちゃんに反応してあげて優しい」的な評価を下し、一方でその申し出に応じないあっちゃんを「逃げた」と分析する。でも、SNS時代のエンタメの文脈で言えば「おいしいネタが振られたのだから、松ちゃんはこれをどう料理するのかな(ワクワク)」という反応が日常であり、多分、正解は「テレビでもYouTubeでもどっちでもいいから一度、対談しようぜ 連絡待ってる!」だったのではないか。もしテレビで直接対決みたいな形になったら盛り上がる。SNS時代のエンタメの文脈で言えば、松ちゃんがおいしいネタを「逃した」とも評価できる。だからこそ、あっちゃんは「あー、ノッてこないか。まあ、そりゃそうか」という冷めた気持ちなのだと思う。
決して、若者が良いとか年配が悪いという議論ではない。単なる文化の断絶だと思う。そして、よくも悪くもテレビとスマホというメディアの分断とも重なる。ボクはもうテレビを見ない。YouTubeに可処分時間を投入している。SNS時代の文脈から眺めると、松ちゃんがノッてこなかったことが残念に感じられ、時代を感じてしまうのだけれど、どうなんだろうか。