2023年4月21日 隠棲動物学
4月5日に13歳の少女が目撃したネッシーの画像が、このたび、「オフィシャル・ロッホ・ネス・モンスター・サイティングス・レジスター」に公式認定されたというニュースが流れてきた。目撃情報を公式に認定する仕組みがあるというのがそもそも面白いし、21世紀のこのご時世に、「未確認生物(UMA)」というジャンルがまだ健在なのかと感じる人もいるかもしれない。
日本では、「未確認生物(UMA)」はオカルトとかファンタジィのジャンルに区分されて、妖怪や幽霊、宇宙人などとごちゃまぜになって扱われがちであるし、ボクのウェブサイト「ファンタジィ事典」も御多分に洩れず、未確認生物も含めて、「世界の妖怪」と定義して取り扱っている。
海外では、隠棲動物学(Cryptozoology)と言って、学問ジャンルとして扱われていて、アメリカには「国際隠棲動物学会」も設置されている。こういう隠棲動物の事例としてよく引き合いに出されるのが「ゴリラ」だ。ゴリラは当初は「隠棲動物」として取り扱われていて、19世紀に「発見」された。コモドオオトカゲも恐竜の生き残りとされていて、20世紀になって「発見」された。コビトカバもそう。パンダやオカピもそうだ。日本だと、イリオモテヤマネコが同様のジャンルだ。
つまり、未確認の生物が実際に存在することは論理的にはあり得る。そういう学問が隠棲動物学……なのだが、ネッシーの場合はどうだろうなあ……。植物プランクトンの量、魚類の量などから、大型肉食獣の生存は困難だとか、肺呼吸の生物だと仮定すると湖面に顔を出す頻度が低いとか、1987年の大規模なソナー調査の結果、大型生物が発見されなかったとか、いろいろと科学的裏付けのある否定がたくさんあって、やっぱり、少しだけオカルトっぽい印象がある。多分、隠棲動物学で真正面から取り扱うべきジャンルではなくて、イロモノではないかな、とは思う。