2025年2月19日 ジェネ氏、『地獄の辞典』を語る!?
昨日、好事家ジェネ氏がYouTubeでコラン・ド・プランシーの『地獄の辞典』について熱く語っていた。ボクは昔からジェネ氏の動画はよく観る方で、深い洞察が好きで、いつも楽しく視聴しているが、今回もネタがネタだけに興味深く拝見した。
『地獄の辞典』(著:コラン ド=プランシー,訳:床鍋剛彦,講談社+α文庫,1997年)と言えば、ボクが中学生か高校生の頃、珍しく東京の本屋さんに行った際に、そこで平積みになって売っているのを発見して「何これ、すごい!」と感動して買った鮮烈な記憶がある。だから、ボクなんかはこの辞典に登場する悪霊たちを昔から詳しく知っているし、ルイ・ル・ブルトンのイラストにはかなり馴染みがあったりする。
ジェネ氏は動画の中で『地獄の辞典』の影響で知名度爆上がりになった悪魔について解説している(厳密にはゲティングズ氏の『悪魔の事典』からの引用)。でも、ボクは子供の頃から『地獄の辞典』に慣れ親しんでいるので、すでにこの「知名度爆上がり」の洗礼というヤツを受けてしまっている状態だ。だから、あんまりフラットな目線で『地獄の辞典』について語りにくかったりする。ブルトンのインパクトのあるイラストが学生の頃から頭の中に叩き込まれているってわけだ。
ジェネ氏は『地獄の辞典』を真っ新な気持ちで読んだのか、かなりフラットな目線で読み込んでいるのが面白かった。特に「梟頭シリーズ」みたいな解説は何だか笑ってしまった。梟頭シリーズの悪魔として紹介されていたアモンもアンドラスもストラスも、その界隈ではとても有名な悪魔たちだ。でも、そういう事前情報なしに読むと、確かにフクロウ頭の悪魔がたくさんいるという驚きが生じるのかもしれない。そういう発見が個人的にはとても面白かった。
ジェネ氏はゲティングズの言葉を引きながら、プランシーの解説のいい加減さについても言及している。実際、動画の中では、プランシーが紹介する日本の妖怪や伝説についても紹介していて、かなりいい加減な解説になっていることを暴いている。それはそのとおりで、プランシーの解説というのは、案外、的を外したものも多いし、胡散臭さも多分にある。
ウェブサイト「ファンタジィ事典」の中で、魔法書文献に関する悪魔たちについて、ボクはヨーハン・ヴァイヤーの『悪魔の偽王国(プセウドモナルキア・ダエモヌム)』(ラテン語)とメイザース&クロウリィ版の「ゲーティア」(英語)、そしてこのコラン・ド・プランシーの『地獄の辞典』(フランス語)の3つを並べて訳しているので、プランシーが『悪魔の偽王国』を引きながら、どういう風に解説しているのか、比べながら読んでもらえれば幸いだ。