2022年5月30日 中田あっちゃんのマンガ『曼陀羅東京』が面白い。

YouTubeで毎月、ボカロ楽曲をリリースし、それに合わせてスマホコミックが1話公開される。

ボカロ曲「成仏させちゃうぞ」はボカロ曲の要素をこれでもか、と詰め込んでいて、「これがボカロでしょ!?」感が満載。いろんな歌い手さんが歌って、盛り上がるとよいな、と思う。

Twitterにも書いたんだけど、ボカロ曲は非常に緩やかに拡散されていっている印象。でも、その拡散力は現時点では非常に緩やかだ。どこかで爆発するんだろうか。有名な歌い手さんがどこかで食い付けば、どーん、と広がる可能性もあるのかもしれない。

普段、「歌ってみた」を聞く習慣はないんだけど、今回、歌い手によって楽曲の雰囲気ががらり、と変わるのは面白いな、と思った。「成仏させちゃうぞ」をファルセットで歌う人もいれば、シャウトして歌う人もいる。それぞれが個性があって面白い。にゃるほど、若者はこういう文化の楽しみ方をしているのか、と新しい楽しみ方を発見した感じ。

マンガについては、絵に対するネガティブな意見が多いことに驚いた。ボクはこの絵柄もよいと思う。絵に動きがあるし、コマからはみ出したりして、とてもポップ。今風で、味があって、かわいい。キャラクタが魅力的に描けている。事前に設定を読まないと人間関係が分かりづらいところはあるが、そういうのも、ケータイ小説っぽいというか、今風な感じがする。『ハンター×ハンター』のアニメでも感じたが、キャラクタ同士の関係性をほとんど描かずに、どん、と提示すると、余白ができるので、読み手がいろいろと関係性を想像する。そこに遊びができるので、二次創作しやすい。そういう仕掛けも、同人受けしそうで、よいな、と感じる。

「物語と絵が合っていない」という意見が結構、散見される。でも、一体、どういうことなんだろう。つまり、それって「物語に合う絵」というのが前提として存在していることを意味する。読み手の中に、ある程度、そういうステレオタイプな前提があって、そこから外れると「物語と絵が合っていない」という感想になる。それって、ちょっと頭が凝り固まっていやしないか? そんな風な感性の人が、結構、多いことが分かって、それもまた、あっちゃんが炙り出した新しい事実だな、と思う。

スマホの普及が遅れた日本。だからこそ今、全てをスマホの中で完結させるコンテンツを出して人々の意識改革を促す。そのあっちゃんの哲学に強く共感した。

曼陀羅東京 – 公式サイト