2023年4月29日 バオウ・ザケルガ!!

『金色のガッシュ!!』と言えば、2001年から2008年まで「少年サンデー」に連載されていた人気漫画だ。アニメ化もされた。作者の雷句誠氏は、小学館と大揉めして講談社に移り、そこでも編集者と揉めたっぽくて、最終的には自分自身でBIRGDIN BOARD株式会社という会社を立ち上げたというから、ものすごく変わった人物ではある。でも、ちゃんと漫画を描き続けていて、2022年から『金色のガッシュ!!2』の連載が始まった。現在、2巻まで出版されている。

当時、雷句氏がTwitterで『金色のガッシュ!!2』の連載開始を発表したときには、ファンが歓喜する一方で、一度、完結した物語を再開することに対する不安の声もたくさんあった。実は、ボクも不安を抱いていた。『金色のガッシュ!!』は、清磨とガッシュが、魔界の王を決める戦いに参加し、「やさしい王様」を目指す物語だ。そして、33巻で有終の美で完結した。ちゃんと完結した物語を、もう一度、組み立てなおして、続編を描くのは難しいし、すでに清磨とガッシュの関係性も変わっているわけで、どのような展開になるのか、見当もつかなかった。

だから、1巻が本屋さんに並んだときには、ちょっと様子見というのか、遠巻きに眺めて静観していた。そうしたら、2巻が発売された。「あ、ちゃんと続いた!」とボクはビックリして、そして、買ってみた。冒頭は不安が渦巻く展開だったが、どんどん、昔の懐かしい面々が登場したら、ぐいぐいと引き込まれた。そして、新しい展開も、それほど大きな違和感なく、前作と繋がった。

何よりも、読者の感情を揺さぶる瞬発力がすごい。雷句氏の鉄板のテンプレートなのだろう。普通だったら、周到に準備して、流れをつくって、ゆっくりと読者の心を動かしていく。でも、ガッシュは、1冊の中であっという間に感動の形を組み立てて、読者に向かって打ち込んでくる。1巻も、2巻も、ちゃんと感動のシーンまで持っていく。その瞬発力がものすごい。ああ、これがガッシュだ、と感じた。

大抵の場合、続編って失敗するものだけれど、今のところ、ガッシュに関しては、企画倒れにはなっていない。続編のストーリも成立しているし、かつての感動も損なわれていない。それもまた、すごいことだ。