2020年7月3日 ウィンウィンの関係を目指さないとダメだ

上沼さんとキンコン梶原が揉めたらしい。ニュースでしか知らないし、あくまでも現場にいたスタッフの証言であって、何が正しいとか、何が間違っているとかは全然、分からない。でも、実はボクは、ずぅっと上沼さんの発言には違和感を覚えていた。新コロの自粛明けに、キンコン梶原が番組に出たときに、連絡がない、無礼だ、みたいなイジりをしたときだ。連絡しなくてはいけないということではないし、「無礼だ」というイジりは笑いにならない。

よく、イジられる側がもっと面白くすべし、という人もいる。イジられる側の反応がイマイチだからスベったみたいなトーンで論じられるときもある。でも、ボクはやっぱり、イジる側が最終的な着地点を考えなきゃいけないし、受け手が思った反応をしなかったら、もうイジるべきじゃない。つまり、「あ、この人はイジっても面白くならないな」と分かって尚、イジったら、それはイジった側に問題がある。「この人はイジったら面白くしてくれる」という信頼関係の上でイジるから安心してイジれるのであって、そうでなければ、イジられる側の責任にしてはいけない。

基本的に、キンコン梶原はイジられるとムキになるタイプで、イジって面白くなる芸風ではない。それに「無礼だ」というのは、仮に事実だったとしても、キンコン梶原の株を下げるだけで、ウィンウィンのイジりにはならない。いつも無礼だったり、無神経だったりして、それをネタにしている人間に対して、「こいつ、ホンマに無礼だ!」とやれば、それは笑いになるけれど、「キンコン梶原が連絡を寄越さない」というのは、笑いになろうがなるまいが、キンコン梶原にとってのネガティブ・キャンペーンにしかならない。それをやってしまうところに、ボクはちょっと違和感を覚えていて、どうしたのかなあ、と思っていた。そんな風に感じていた矢先に、この展開だ。

結構、ね。賛否両論で、キンコン梶原が無礼なのがいけないという論調もある。お世話になった人を裏切ったとか、ね。でも、そういう論調を作ってしまった時点で、やっぱり上沼さんの発言のチョイスは間違っていたのだと思う。お互い、仕事なのだから、相手の株を下げるような行為をしたらいけない。ウィンウィンの関係を目指すべきだ。上沼さんはキンコン梶原が引き立つように演じ、キンコン梶原も上沼さんが引き立つように演じる。それが嘘っぱちの演技だったとしても、プロフェッショナルである以上、そういう見せ方をしないと、お仕事として成立しない。そういう意味では、上沼さんの発言に真っ向から異を唱えるツイートをしたキンコン梶原の態度も、ある意味ではプロフェッショナルを欠いていると言えば、そうだ。明らかに上沼さんにダメージを与える。

でも、最初にそういう先制攻撃をしたのは上沼さんであり、だから、ボクは彼女が下手なボールを投げたな、と感じている。勿論、そういうのは今回だけではなくって、あちこちで、感情的で攻撃的な発言をしていて、個人的にはボクはあんまり好きなタイプの芸人ではなかった。でも、今回、相手がキンコン梶原で、本当に彼が不器用だったから、こういう展開になってしまった。多分、他の人だったら、うまくあしらって、もっと上手にやってくれただろうな、とは思う。

スタッフがいろいろと暴露してしまう時点で、そろそろ苦しいな、と何も知らないながら、ボクは個人的には思う。若い人たちは、思った以上に寛容で、争いを避ける傾向にある。若い視聴者もそうだし、多分、スタッフも、そういう人が増えていると思う。少なくとも、カジサックは、ゲストが最大限面白くなるように編集をしている。こういう気遣いが、若者に受けているのだ、と思う。ウィンウィンの関係を目指す在り方が問われていると思う。