アメノミナカヌシ

[記紀神話]

名称 天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)〔記〕、天御中主尊(アメノミナカヌシノミコト)〔紀〕【日本語】
特徴原初神。この世界の根源。高天原の主宰神。後代には「妙見さん」として崇拝される。
出典『古事記』、『日本書紀』ほか

この世界の原初神でこの宇宙の根源!?

アメノミナカヌシは『古事記』の天地開闢の神話に登場する原初神。この世界に最初に出現し、その後に出現したタカミムスヒ(高御產巢日神)カミムスヒ(神產巢日神)とともに「造化三神」と呼ばれる。また、その後に出現したウマシアシカビヒコヂ(宇摩志阿斯訶備比古遲神)アマノトコタチ(天之常立神)と合わせて「別天神(ことあまつかみ)」と呼ばれる。

その名前は《天の真ん中にいる主神》という意味で、この世界の根源であり、高天原(たかまのはら)の主宰神でもある。しかし、神話の中では何ら活躍することなく、獨神としてすぐに姿を隠してしまう。中国の思想を反映した抽象的・概念的な神さまとして生み出されたのであろう。抽象的・概念的な神さまにはこのようなことはよくあることで、「閑職神」と呼ばれる。たとえば、ギリシア・ローマ神話のウーラノスやヴェーダ神話のヴァルナ(वरुण)、ヒンドゥー教のブラフマー(ब्रह्मा)などは重要な神さまとして名前が挙げられるが、世界の最初に登場するだけで、その後、活躍しなくなる。アメノミナカヌシも古代においては特に大きく崇拝されることはなかったようだ。

しかし後代になって、平田実篤はキリスト教の「万物の創造神」という思想に影響を受け、アメノミナカヌシ、タカミムスヒ、カミムスヒを重要な神として位置づけ、アメノミナカヌシを最高神として位置づけた。復古神道などではこの流れを汲んで、アメノミナカヌシを最高神として位置づけている。

北極星の神格化!? 妙見信仰とアメノミナカヌシ

また、中世以降、妙見信仰と結びつけられて、「妙見さま」として親しまれ、人々に崇拝されるようになった。これは道教の影響で「妙見」というのは北極星のことを指す仏教用語である。道教では北極星を神格化したものを妙見菩薩と呼んだ。天の真ん中に位置する北極星はアメノミナカヌシと同一視されるようになり、「妙見さん」として信仰されるようになったのである。

水天もアメノミナカヌシ!?

また、神仏分離の際には、水天を祀っている水天宮もアメノミナカヌシと結び付けられた。水天というのは本来、インドの始源神ヴァルナのことで、このことから水天はアマノミナカヌシに置き換えられていった。