2014年3月29日 37人のナッの首領たち
久々にミャンマーの妖怪について調べよう、と本格的に英語の本を読み始める。『The Thirty-Seven Nats』という本。休日にヤンゴンの古本屋さんで出会った本だ。
ウェブサイト『ヘタっぴなアルコール蒸留』は「創作と神話を楽しむウェブサイト」なので、ちょっとマニアックだけど、ミャンマーのナッについて、整理している途中の情報を挙げておこう。
※ミャンマー文字はMyanmar3フォントをダウンロードしてください。
Wikipediaで、ミャンマー語の発音の仕方から勉強するわけだけど、例えば、သိကြားမင်းはミャンマーの国際音声記号にすると「ðədʑámɪ́ɴ」ということになる。これをカタカナ化しようと努力すれば、「ザジャー・ミーン」といったところか。今まで、ウェブサイトの情報から「ダジャー・ミン」と書いてきたんだけど、「ð」は「that」の「th」であって、「ザッツ」とカタカナ化することを思えば、「ダ」ではなくって「ザ」だよなあ。それから「ɪ́」も長い音らしいので、長音にしてみた次第。そんなやり方を踏襲しながら、မင်းမဟာဂီရိ(ミーン・マハギリ)、ရွှေနဘေး(シュエ・ナベ)、と次々に項目を追加しようと画策中。「37人のナッの首領たち」なので、こうやって続けていけば、そのうち37項目がアップできるはずだ。
シュエ・ナベはボクのこれまでの雑記の中では新登場……かな。シュエ・ナベはナーガ(大蛇)の娘らしく、大蛇の冠をかぶっている。絵によっては、磯女みたいに、首から下が大蛇、というパターンもある。そして、驚くべきことに、彼女はミーン・マハギリの奥さんらしい。ジャングルに姿を隠していたマウン・ティン・デ(人間のときのミーン・マハギリ)は、ジャングルの中で彼女と出会って、恋をしたらしい。そして双子の息子をもうけたようだ。
多分、これって、後づけの神話なのだと思う。古くからあったナーガ信仰と女神の神話を、次第に勢力が大きくなってきたミーン・マハギリの神話とくっつけたんだと思う。こうやって、ミーン・マハギリの奥さん、というポジションについたことで、シュエ・ナベは「37人のナッの首領たち」のメンバに仲間入りだ。
彼女の双子の息子たちであるတောင်မကြီး(タウンマジ)とမောင်မင်းရှင်(マウン・ミーン・シン)も、「37人のナッの首領たち」のメンバになっている。この双子の兄弟は、ピューの徴税官として、それぞれ南北を司っていた。けれども、あまりに強力なので、時の王に恐れられ、殺し合いのボクシングを命じられる。その結果、相討ちとなって両者ともに死んでしまい、その後、悪霊ナッになったという。
彼らは6本腕で、このフォルム自体は、おそらく、ヒンドゥー教の影響を受けている。この双子の兄弟も、ミーン・マハギリやシュエ・ナベとは無関係にピューで崇拝されていたナッなのであって、ミーン・マハギリのファミリィになることで、公式のパンテオンに統合されていったのだろうと思われる。
そんなわけで、段々とミャンマーの妖怪について、整理出来てきているかな、と思っている。文献が英語なので、ちょっと苦しいよなあ(笑)。