ウトゥ/シャマシュ

[シュメル・アッカド神話]

名称 𒀭𒌓dud〕(ウトゥ)《太陽》【シュメル語】
𒀭𒌓dbabbar〕(バッバル)《白い》【シュメル語】
𒀭𒃻𒈦iluša2-maš〕(シャマシュ)【アッカド語】
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容姿牛の角をはやした冠をかぶった男性神。肩から3本の太陽光線が放射。ノコギリのような武器を持つ。
特徴太陽神。正義の神。法律、真実、裁判の神。ラルサ市の都市神。
出典『ギルガメシュ叙事詩』ほか

太陽光線を放射する神さま!?

ウトゥはシュメル神話に登場する太陽神である。ウトゥとは《太陽》を意味するシュメル語で、同じ文字で《白い》とか《輝く》という意味も持っている。その場合はバッバルと読むため、この神さまもバッバルと呼ばれることがある。アッカド神話のシャマシュと同一視され、習合されていく。

その姿は牛の角をはやした冠をかぶった男性神で、肩からは太陽光線が3本、放射されている。ギザギザのノコギリのような武器を持った姿で描かれることが多い。また、有翼太陽を背後にした神さまとして描かれることもある。

お天道さまが見ているゾ!?

シュメルでは、太陰暦が採用され、太陽よりも月を重要視しているため、ウトゥ/シャマシュは、神話の中では、あまり目立った活躍はしない。しかし、日本人の「お天道さまが見ているよ」という感覚に近いのか、正義を司る側面があって、このため、法律、真実、裁判に関わる神さまとして篤く崇拝された。実際、「目には目を、歯には歯を」で有名なハンムラビ法典は、太陽神シャマシュがハンムラビ王に与えたものとして伝えられている。

ウトゥ/シャマシュは、ラルサ市の都市神で、ラルサ市には、《輝く家》という意味のエバッバルという神殿があった。後代になるとシッパルやエリドゥ、アッシュルも崇拝の中心地になった。

神話では、月の神ナンナ/シンと女神ニンガルの間に生まれた息子とされ、一説には天候神イシュクル、金星の女神イナンナ、冥界の女神エレシュキガルとは兄弟とも言われる。

太陽神なので、毎朝、東の山から昇り、夕方には西の山に沈む。また、夜は冥界を照らし、冥界にはびこる病魔や邪悪を退散させると信じられた。そのため、冥界神ネルガルと同一視されることもある。

英雄ギルガメシュを格別に守護する神さま!?

神話では、あまり目立った活躍をしないウトゥ/シャマシュだが、『ギルガメシュ叙事詩』の中では、英雄ギルガメシュがシャマシュに祈る場面が非常に多く、ウトゥ/シャマシュも、ギルガメシュの守護神のように振る舞っている。ギルガメシュの誕生の際に、美しい姿を授けたのも彼だし、ギルガメシュとエンキドゥが森の神フワワ/フンババと天の牛を殺したときに、神々が会議の場で、罰としてエンキドゥの命を奪おうと決定したときにも、シャマシュだけは最後まで彼らをかばっている。

古い時代には、シャマシュは女神だったという説がある。アッカド人が、シュメルの太陽神ウトゥを取り込む過程で、男性神に変容していったというのである。