ゲーリュオーン

[ギリシア・ローマ神話]

名称Γηρυών〔Gēryōn〕(ゲーリュオーン)【古代ギリシア語】
Γηρυονεύς〔Gēryoneus〕(ゲーリュオネウス)【古代ギリシア語】
容姿3頭3体の巨人。鎧兜で武装する。
特徴エリュテイア島で紅い牛を飼っていた。牛を奪いに来たヘーラクレースに殺された。
出典ヘーシオドス『神統記(テオゴニアー)』ほか

紅い牛の群れを飼う3頭3体の怪物!?

ゲーリュオーン、あるいはゲーリュオネウスはギリシア・ローマ神話に登場する3頭3体の巨人である。3頭3体というのは、3人の男性の身体がお腹の部分でひとつにくっついたような姿である。手足が6本あって、背中に翼をはやしているという。鎧兜を纏(まと)い、楯と槍で武装した重装歩兵の姿で描かれる。怪物クリューサーオールと海の精霊カッリッロエーの息子である。

オーケアノスの彼方にあるエリュテイア島(場所は不明である!)に棲んでいてたくさんの紅い牛を飼っている。この牛の群れの番犬には双頭の怪物オルトロス、牛飼いとしてエウリュティオーンが任命されていた。

ヘーラクレースの12の難業の10番目として、英雄ヘーラクレースはエウリュステウス王から、このゲーリュオーンの牛の群れを奪ってくるように命じられた。ヘーラクレースがエリュテイア島に到着すると、真っ先にオルトロスが気付き、侵入者に飛び掛かった。英雄はこれを棍棒で撲殺すると、さらに犬を助けに来た牛飼いエウリュティオーンも殺害すると、牛の群れを奪った。近くでハーデースの牛の群れを預かっていた牛飼いのメノイテースがこれを発見し、ゲーリュオーンに知らせたため、ゲーリュオーンはヘーラクレースを追いかけて、戦いを挑んだ。結局、ヘーラクレースによって矢で射られて殺されてしまった。

3頭3体という恐ろしい姿をしているが、パタウィウム(現在のイタリア北東のパドヴァ)に神託所があるなど、人々に祀られていた痕跡がある。12の難業の中ではヘーラクレースに殺されてしまっているが、エピソードから見れば、侵略者は明らかに英雄の方である。

《参考文献》

  • 『神統記』(著:ヘシオドス,訳:廣川洋一,岩波文庫,1984年)