エアリアル

分 類ヨーロッパ伝承
名 称 Ariel(エアリアル)【英語】
容 姿華奢な妖精。
特 徴大気の精霊。嵐を自在に操る。
出 典シェイクスピア『テンペスト』(1623年)ほか

自由自在に嵐を操る妖精、復讐劇に加担する!?

エアリアルはウィリアム・シェイクスピアの戯曲『テンペスト(嵐)』に登場する大気の精霊。魔女シコラクスに木の中に閉じ込められていたのを魔術師プロスペローに助けられたことから、彼の命に従い、彼の復讐の協力をする。

プロスペローは元々、ミラノ大公だったが、12年前に弟のアントーニオーらによって地位を追われ、現在は孤島で娘のミランダと一緒に暮らしていた。一方、大気の精エアリアルはこの島の魔女シコラクスによって使役されていたが、使い物にならないということで、12年間の間、松の木の裂け目に幽閉されていた。魔女はその間に死んでしまったが、エアリアルはプロスペローに救われ、彼の使い魔となった。

プロスペローの命を受けたエアリアルは、激しい嵐を起こしてミラノ大公アントーニオーとナポリ王アロンゾーを乗せた船を難破させ、プロスペローの住む孤島へと船を導く。こうしてプロスペローの復讐劇が始まる。途中、ナポリ王の息子ファーディナンドとミランダの恋愛があったり、島に棲む怪物キャリバンが暗躍したり、アントーニオーがアロンゾーの殺害を企てたりといろいろあるのだが、最終的にプロスペローが弟のアントーニオーらを許して幕となる。エアリアルはその間、プロスペローの命令を忠実にこなし、最後にはプロスペローに解放され、晴れて自由の身になって空へと帰っていく。

劇の表題にもなっているとおり、エアリアルは激しい嵐を起こしてアントーニオらの乗っている船を難破させ、プロスペローの住む孤島に漂着させた。エアリアルは妖精らしく、火の玉に化けて乗組員たちを混乱に陥れる。また、魔法で彼らを眠らせたりもする。また、激しい風で船を孤島に誘導したが、島に漂着した乗組員たちは髪の毛一本も失うことはなかったというから、風は完全にエアリアルによってコントロールされていた。また、ハルピュイアに化けてみせるなど、さまざまな幻術を見せて、アントーニオーやアロンゾーを誑かし続けた。

《参考文献》

Last update: 2020/06/28

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