ジャック・オ・ランタン

分 類イギリス伝承
名 称 Jack-o'-Lantern(ジャック・オ・ランタン)《提灯ジャック》【英語】
(※ 正確な発音は「ジャカランターン」あるいは「ジャッカランタン」)
容 姿
特 徴
出 典

カボチャのジャックはカブだった!?

ジャック・オ・ランタンは現在ではハロウィンに登場する「カボチャのお化け」としてよく知られている。元々はアイルランドやスコットランドなどの島のケルトに伝わる鬼火の一種である。善霊を引き寄せ、悪霊を追い払う効果があると信じられていた。

アイルランドの古い伝承によれば、元々、ジャックという大酒飲みの人間がいて、盗みや詐欺などで生計を立てていた。あるとき、悪魔がやってきて、ジャックの魂を奪おうとしたが、ジャックは悪魔を騙して力を奪い、解放する代わりに自分を地獄に連れて行かないように契約させた。その後、ジャックは酒の飲みすぎで死んだが、日頃の悪行のため、天国に行くこともできなかった。こうして、天国にも地獄にも行けなくなったジャックを哀れに思った悪魔はジャックに石炭を与えた。ジャックは西洋カブ(ルタバガ)をくりぬいてランタンをつくると、今でもそれを手にこの世を彷徨い続けているという。

古代ケルトでは、1年を大きく2つの季節に分けていて、5月1日から10月31日までが夏、11月1日から4月30日までが冬と考えていた。そして、10月31日の夜から11月1日の明け方にかけては季節が入れ替わるため、あの世とこの世の境界が曖昧になって、精霊たちがこの地上に現れ、活発に活動すると信じられていた。そのため、精霊たちを宥めるために、古くから夏に収穫された作物や食べ物、飲み物などを供え物として屋外に並べた。また、精霊の仮装をして家を回り、精霊の代わりに供え物を受け取ったり、精霊たちから身を守ったりした。また、ドルイドたちは焚き火をして、精霊たちを追い払った。その文化の中で、西洋カブ(ルタバガ)をくりぬいて顔を彫り、ランタンを作る習慣がアイルランドやスコットランドに広まっていった。

この西洋カブのジャック・オ・ランタンが現在のようなカボチャに姿を変えたのは19世紀頃だと言われていて、アメリカに渡ったアイルランド系移民がハロウィンの文化を定着させるとともに、アメリカで生産の多かったカボチャでランタンを作ったためである。しかし、現在でもスコットランドでは西洋カブを用いている。

ちなみに、白い西洋カブで顔を彫ってランタンを作ったのは、本来、頭蓋骨を模したのではないかとの説もある。先祖霊を崇拝する対象として頭蓋骨を祀る事例は現在でも中南米などに残っている。

《参考文献》

Last update: 2024/01/01

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