イクチ

分 類日本伝承
名 称 イクチ【日本語】
容 姿巨大なウミヘビ。
特 徴海に出没。船をまたいで通過し、数時間かかる。船の中に油を垂らす。
出 典津村淙庵『譚海』(1796年)、根岸鎮衛『耳嚢』(1784-1814年)ほか

船をまたいでいく巨大なウミヘビ!?

イクチは日本に伝わる海の妖怪。体長が数キロメートルもあって、船をまたいで通過していく。あまりに長いため、数時間もかかるとされ、身体から粘着質の油が染み出し、船上にこぼしていくため、船乗りはこれを海に汲み出さないと船が沈没してしまうとされる。『譚海』では常陸国(現在の茨城県)の沖に出没したとされている。また『耳嚢』では近畿地方や九州などに現れるとされるので、日本全国に伝わっていると言える。鳥山石燕は『今昔百鬼拾遺』の中で「あやかし」として巨大なウミヘビのような妖怪を描いているが、これはイクチを描いたものをされる。

このような海に現れる巨大なウミヘビは世界各地に伝わっていて、シー・サーペントなどと呼ばれる。日本に伝わるイクチもシー・サーペントの一種なのかもしれない。

《参考文献》

Last update: 2020/04/18

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