百々目鬼(ドドメキ)

[日本伝承]

名称百々目鬼(ドドメキ)【日本語】
容姿腕に100個の鳥の目がついた女の妖怪。
特徴盗みが上手。たくさんの目がついた腕を見せて驚かせる。
出典鳥山石燕『今昔画図続百鬼』

小銭を盗む女、腕に無数の鳥の目が!?

その昔、生まれつき腕の長い女性がいた。俗に手癖が悪く盗人を働く人間のことを「手長」などと言うことがあるが、彼女もその例に漏れず、腕が長いのをいいことに、スリを働いて荒稼ぎしていた。ところで、昔の銭は真ん中に丸い穴が開いていて、まるで鳥の目のように見えたことから「鳥目(ちょうもく)」と呼ばれていた。盗癖のあるこの女性だったが、やがて腕に次から次へと無数の鳥の目が現れたという。これは鳥目(=穴あき銭)の精の仕業であるとされ、それ以来、彼女は百々目鬼(ドドメキ)と呼ばれる妖怪になった。

百々目鬼は、鳥山石燕の『今昔画図続百鬼』に登場する。そこには、着物の袖を捲りあげて、無数の目がついた腕を見せる女の絵が描かれている。

函関外史(かんかんがいし)云(いわく)ある女生れて手長くして、つねに人の銭をぬすむ。忽(たちまち)腕に百鳥の目を生ず。是鳥目(ちょうもく)の精也。名づけて百々目鬼と云。外史は函関以外の事をしるせる奇書也。一説にどどめきは東都の地名ともいふ。

『函関外史』には「ある女性は生まれながらに手が長く、常に人の銭を盗んでいた。しばらくすると腕に100個の鳥の目が現れた。これは鳥目(銭)の精である。名付けて百々目鬼と呼ばれた」とある。『外史』は箱根よりも外側のことを記した奇書である。一説によれば「どどめき」は江戸の地名とも言う。

鳥山石燕『今昔画図続百鬼』「百々目鬼」より

ちなみに、百々目鬼は、鳥山石燕の創作妖怪であると考えられている。また、『函関外史』という書籍も現存していない。もしかしたら、この本すらも鳥山石燕の創作かもしれない。

この鳥山石燕の描いた絵からの連想なのだと思うけれど、近年の妖怪関連の書籍などでは、百々目鬼は、鳥の目がたくさんついた腕を人々に見せて驚かせる妖怪と解説されている。水木しげるの描いている百々目鬼の絵にも、道すがら、彼女の腕を見せられて驚いて慌てふためく人々が描かれている。

ちなみに宇都宮には100個の目を持つ百目鬼(ドウメキ)という鬼の伝説が残されていて、この鬼との関連が議論されている。

《参考文献》