ユミル

分 類北欧神話
名 称 Ymir(ユミル)【古ノルド語】
Aurgelmir(アウルゲルミル)《山地で吼えるもの》【古ノルド語】
Brimir(ブリミル)《騒ぐもの》【古ノルド語】
容 姿巨人。
特 徴原初の巨人。両性具有で、単体で多くの霜の巨人族を生み出した。オージンらに殺されてこの世界の材料となった。
出 典スノッリ・ストゥルルソン『散文のエッダ』(13世紀頃)、『詩のエッダ』(13世紀頃)ほか

この世界になった原初の巨人!?

ユミルは北欧神話に登場する原初の巨人である。北欧神話の世界では原初にはギンヌンガガプと呼ばれる巨大な裂け目があり、氷の国ニヴルヘイムと炎の国ムースペッルスヘイムしかなかった。ニヴルヘイムから飛来した霜が、ムースペッルスヘイムの熱で溶かされ、滴になった。その滴が凝固して巨人ユミルが誕生したという。同様にして原初の牝牛アウズムブラが生まれ、ユミルはこの牛の乳を飲んで生きていた。やがてアウズムブラが舐める氷の中から、神々の始祖であるブーリがうまれ、ブーリの子孫がたくさんの神々になった。

ブーリの孫であるオージンとその兄弟たちはユミルを殺して、その死体からこの世界を創った。『グリームニルの歌』によれば、ユミルの肉は大地に、血は海に、骨は岩に、髪の毛は樹木に、頭蓋骨は天に、脳髄は雲になったという。また、睫毛(まつげ)は巨人族と人間を分かつためのミズガルズの柵になったという。

ユミルは霜の巨人族であるヨートゥンの始祖となり、『ヴァフスルーズニルの歌』によれば、ユミルの寝汗から巨人族が誕生したという。ユミルは両性具有とされ、右足と左足を擦り合わせることで子供をなしたのだという。ユミルが殺されたとき、大量の血が流れ出して、こうして生まれた巨人族は溺れ死んだとされたが、ユミルの孫のベルゲルミルとその妻だけが碾臼台に登って生き残ったため、後に神々は巨人族に悩まされることになる。

また、殺されたユミルの死体からは蛆(うじ)が湧き、これは小人族であるドヴェルグになった。

《参考文献》

Last update: 2023/04/01

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