ネフィリム

分 類ユダヤ・キリスト教
名 称 Nephilim(ネフィリム)【英語】
Nephilim(ネピリム)【ラテン語】
נְפִילִים(ネフィリム)【ヘブライ語】
容 姿巨人。
特 徴天使と人間の間に生まれた。食欲旺盛で人間の食べ物を食べ尽くした後、お互いに共喰いした。神は彼らを絶滅させるために大洪水を引き起こした。
出 典『創世記』『民数記』『ヨベル書』『エノク書』ほか

天使と人間の間に生まれたのは巨人でした!?

ネフィリムは『旧約聖書』などにその名前が登場する巨人族。名前の意味はヘブライ語で《(天から)落ちてきた者たち》という意味があるとされる。

『旧約聖書』の「創世記」6章1~4節では、神の子たちが人間の娘たちの美しさに魅了され、各々が選んだものを妻にしたと記述されている。こうして生まれたのがネフィリムで、英雄になったという。同じ旧約聖書の「民数記」13章32~33節では、カナアンに偵察に行った一隊がモーセに巨人の存在について報告している場面がある。アナク人たちは巨人で、ネフィリムの子孫なのだという。

וַֽיְהִי֙ כִּֽי־הֵחֵ֣ל הָֽאָדָ֔ם לָרֹ֖ב עַל־פְּנֵ֣י הָֽאֲדָמָ֑ה וּבָנ֖וֹת יֻלְּד֥וּ לָהֶֽם׃
וַיִּרְא֤וּ בְנֵי־הָֽאֱלֹהִים֙ אֶת־בְּנ֣וֹת הָֽאָדָ֔ם כִּ֥י טֹבֹ֖ת הֵ֑נָּה וַיִּקְח֤וּ לָהֶם֙ נָשִׁ֔ים מִכֹּ֖ל אֲשֶׁ֥ר בָּחָֽרוּ׃
וַיֹּ֣אמֶר יְהוָ֗ה לֹֽא־יָד֨וֹן רוּחִ֤י בָֽאָדָם֙ לְעֹלָ֔ם בְּשַׁגַּ֖ם ה֣וּא בָשָׂ֑ר וְהָי֣וּ יָמָ֔יו מֵאָ֥ה וְעֶשְׂרִ֖ים שָׁנָֽה׃
הַנְּפִלִ֞ים הָי֣וּ בָאָרֶץ֮ בַּיָּמִ֣ים הָהֵם֒ וְגַ֣ם אַֽחֲרֵי־כֵ֗ן אֲשֶׁ֨ר יָבֹ֜אוּ בְּנֵ֤י הָֽאֱלֹהִים֙ אֶל־בְּנ֣וֹת הָֽאָדָ֔ם וְיָלְד֖וּ לָהֶ֑ם הֵ֧מָּה הַגִּבֹּרִ֛ים אֲשֶׁ֥ר מֵעוֹלָ֖ם אַנְשֵׁ֥י הַשֵּֽׁם׃ (פ)
וַיַּ֣רְא יְהוָ֔ה כִּ֥י רַבָּ֛ה רָעַ֥ת הָאָדָ֖ם בָּאָ֑רֶץ וְכָל־יֵ֙צֶר֙ מַחְשְׁבֹ֣ת לִבּ֔וֹ רַ֥ק רַ֖ע כָּל־הַיּֽוֹם׃
וַיִּנָּ֣חֶם יְהוָ֔ה כִּֽי־עָשָׂ֥ה אֶת־הָֽאָדָ֖ם בָּאָ֑רֶץ וַיִּתְעַצֵּ֖ב אֶל־לִבּֽוֹ׃
וַיֹּ֣אמֶר יְהוָ֗ה אֶמְחֶ֨ה אֶת־הָאָדָ֤ם אֲשֶׁר־בָּרָ֙אתִי֙ מֵעַל֙ פְּנֵ֣י הָֽאֲדָמָ֔ה מֵֽאָדָם֙ עַד־בְּהֵמָ֔ה עַד־רֶ֖מֶשׂ וְעַד־ע֣וֹף הַשָּׁמָ֑יִם כִּ֥י נִחַ֖מְתִּי כִּ֥י עֲשִׂיתִֽם׃

人が地上に増え始めて、娘たちが彼らに生まれたとき、
神の子たちは人の娘たちの美しいのを見て、自分の好む者を妻に娶った。
そこで主は「私の霊は長く人の中にとどまらない。彼は肉にすぎない。しかし、彼の年は百二十年であろう」と言われた。
その頃、またその後にも、地にはネフィリムがいた。これは神の子たちが人の娘たちのところに入って、娘たちに産ませたものである。彼らは昔の勇士であり、有名な人々であった。
主は人の悪が地に蔓延り、全てその心に思いはかることが、いつも悪い事ばかりであるのを見られた。
主は地上に人を造ったのを悔いて、心を痛め、
「わたしが創造した人を地上から拭い去ろう。人も獣も、這うものも、空の鳥までも。わたしは、これらを造ったことを悔いる」と言われた。

(『旧約聖書』「創世記」6章1~7節より)

וַיֹּצִיאוּ דִּבַּת הָאָרֶץ, אֲשֶׁר תָּרוּ אֹתָהּ, אֶל-בְּנֵי יִשְׂרָאֵל, לֵאמֹר: הָאָרֶץ אֲשֶׁר עָבַרְנוּ בָהּ לָתוּר אֹתָהּ, אֶרֶץ אֹכֶלֶת יוֹשְׁבֶיהָ הִוא, וְכָל-הָעָם אֲשֶׁר-רָאִינוּ בְתוֹכָהּ, אַנְשֵׁי מִדּוֹת.
וְשָׁם רָאִינוּ, אֶת-הַנְּפִילִים בְּנֵי עֲנָק--מִן-הַנְּפִלִים; וַנְּהִי בְעֵינֵינוּ כַּחֲגָבִים, וְכֵן הָיִינוּ בְּעֵינֵיהֶם.

そして彼らはその探った地のことを、イスラエルの人々に悪く言いふらして言った、「わたしたちが行き巡って探った地は、そこに住む者を滅ぼす地です。またその所でわたしたちが見た民はみな背の高い人々です。
わたしたちはまたそこで、ネピリムから出たアナクの子孫ネピリムを見ました。わたしたちには自分が、いなごのように思われ、また彼らにも、そう見えたに違いありません」

(『旧約聖書』「民数記」13章32~33節より)

旧約聖書外典『ヨベル書』の7章21~23節には、巨人たちが人間の娘たちを娶り、そこから生まれたのがネフィリムであると説明されている。ネフィリムたちは互いに共喰いし、殺し合ったという。旧約聖書偽典の『第1エノク書』7章には、グリゴリと呼ばれる天使の一団が地上に降りてきて、人間の娘たちを妻にし、交わったという。ここから体長3000キュビット(およそ1350メートル)の巨人たちが生まれたという。そして人間たちの食べ物を食べ尽くすと、今度は共喰いを始めた。この様子を見た神は大洪水を引き起こし、ネフィリムたちを絶滅させようとしたという。つまり、聖書の大洪水の原因はこのネフィリムたちにあったというわけである。

《参考文献》

Last update: 2021/03/14

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