フルングニル

分 類北欧神話
名 称 Hrungnir(フルングニル)《喧嘩をするもの》【古ノルド語】
容 姿巨人族。頭は石、心臓は三角形の砥石でできている。
特 徴頭が石でできた巨人。ソールと決闘して敗れた。
出 典スノッリ・ストゥルルソン『散文のエッダ』(13世紀頃)、『詩のエッダ』(13世紀頃)ほか

ソールを苦しめ続ける石頭の巨人!?

フルングニルは北欧神話に登場する巨人ヨートゥンの一人で、石の頭と砥石の心臓を持っていて、非常に強いことで知られていた。フルングニルは自慢の駿馬グルファクシを保有していたが、あるとき、オージンの駿馬スレイプニルと競争することになった。フルングニルはグルファクシにまたがって必死でオージンとスレイプニルを追い掛けたが、結局、スレイプニルには追いつけなかった。しかし、フルングニルはオージンを追い掛けるうちにアースガルズの地までやってきた。オージンは宮殿ヴァルハラにフルングニルを招待して歓待した。しかし、フレイヤの提供する酒に酔い、神々に暴言を吐いた。神々に呼び出されたソールはこの様子を見て激怒し、フルングニルと倒そうとした。しかし、フルングニルは武器を持っていないことに気づき、丸腰の自分と戦うのは卑怯だと咎めて、後日、決闘の場を設けることとなった。

決闘の日、フルングニルは砥石の心臓と石の楯を持って出陣した。ソールの従者スィアールヴィの「ソールは地面の下から攻めてくるぞ」という言葉に騙され、フルングニルは楯を地面に敷いてその上に乗った。ソールの投げた槌ミョッルニルは、フルングニルが投げた砥石と空中で衝突し、砥石を破壊し、そのままフルングニルの頭蓋骨を破壊した。ソールは倒れたフルングニルの脚の下敷きになったが、あまりの重さに身動きが取れなくなった。生まれたばかりの怪力の息子マグニが脚をどかして、ようやく助け出されたという。また、フルングニルの砥石の破片はソールの頭に食い込み、以後、ソールを苦しめた。古代ゲルマンでは、空に雷光が走るのは、この砥石にソールが苦しんでいるからだと説明された。

《参考文献》

Last update: 2023/03/21

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