ゲーリュオーン

分 類ギリシア・ローマ神話
名 称 Γηρυών〔Gēryōn〕(ゲーリュオーン)【古代ギリシア語】
Γηρυονεύς〔Gēryoneus〕(ゲーリュオネウス)【古代ギリシア語】
容 姿3頭3体の巨人。鎧兜で武装する。
特 徴エリュテイア島で紅色のウシを飼っていた。ウシを奪いに来たヘーラクレースに殺された。
出 典ヘーシオドス『テオゴニアー』(前7世紀)ほか

紅色のウシの群れを飼う3頭3体の怪物!?

ゲーリュオーン、あるいはゲーリュオネウスはギリシア・ローマ神話に登場する3頭3体の巨人である。3頭3体というのは、3人の男性の身体がお腹の部分でひとつにくっついたような姿である。当然、手足は6本ある。鎧と兜をまとい、楯と槍で武装した重装歩兵の姿で描かれる。怪物クリューサーオールと海の精霊カッリッロエーの息子である。

オーケアノス(円盤状のこの世界の周囲をぐるりと取り囲む水の流れ)の彼方にあるとされる伝説のエリュテイア島(場所は不明)に棲んでいて、たくさんの紅色のウシを飼っている。この牛の群れの番犬には双頭の怪物オルトロス、牛飼いとしてエウリュティオーンが任命されていた。

ヘーラクレースの12の難業の10番目として、英雄ヘーラクレースはエウリュステウス王から、このゲーリュオーンの牛の群れを奪ってくるように命じられた。ヘーラクレースがエリュテイア島に到着すると、真っ先にオルトロスが気付き、侵入者に飛び掛かった。英雄はこれを棍棒で撲殺すると、さらに犬を助けに来た牛飼いエウリュティオーンも殺害すると、ウシの群れを奪った。近くでハーデースのウシの群れを預かっていた牛飼いのメノイテースがこれを発見し、ゲーリュオーンに知らせたため、ゲーリュオーンはヘーラクレースを追いかけて、戦いを挑んだ。結局、ヘーラクレースによって矢で射られて殺されてしまった。

3頭3体という恐ろしい姿をしているが、パタウィウム(現在のイタリア北東のパドヴァ)に神託所があるなど、人々に祀られていた痕跡がある。12の難業の中ではヘーラクレースに殺されてしまっているが、エピソードから見れば、明らかに侵略者は英雄の方である。

《参考文献》

Last update: 2022/02/23

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