エント

分 類現代ファンタジー
名 称 ent(エント)《巨人》[ローハン語](中つ国の言語)
onodrim(オノドリム)[クウェンヤ語](中つ国の言語)
容 姿巨人。樹木に似た姿。
特 徴長寿。温厚。気長。ただし怪力。
出 典トルキーン『シルマリルの物語』(1977年)、『指輪物語』(1954-1955年)ほか

太古から中つ国に棲む樹人族!?

エントはJ.R.R.トルキーンの『シルマリルの物語』(1977年)や『指輪物語』(1954-1955年)に登場する種族。樹木に似た姿をした巨人族で、手は木の枝、足は木の根のような姿をしている。守護する樹木によって特徴も異なり、ナナカマドを守護するクイックビーム(せっかち)は、細く背が高く、肌がすべすべしているなど、ナナカマドの特徴を備えている。

エントは大昔から中つ国に存在するとても古い種族であるようだ。その昔、植物を創造した女神ヤヴァンナが、人間やドワーフエルフたちによって植物が伐採され、滅びてしまうことを危惧した。このため、万物の父であるエル・イルーヴァタールはエント族を生み出した。エントたちは外の世界の者たちに樹木が伐り倒されないように森を守護した。

エント族は非常に長寿である。『指輪物語』には、エントの長老であるツリービアード(木のひげ)(別名ファンゴルン)が登場するが、彼なんかは6,000年も生きている。また、エントたちは皆、非常に気が長いことで知られる。彼らはとてもゆっくりと喋るので、聞いているこっちまで疲れてしまうという。また、非常に温厚な一族としても知られていて、あまり怒ることもない。しかし、彼らは岩をも容易く砕くことができるほどの怪力の持ち主で、一度、怒り出すと、非常に恐ろしい存在でもある。

滅びゆくエント族!?

大昔には、エントたちは、エントワイフ(Entwife)という女性のエントを妻にしていて、エンティング(Enting)という子供を儲けていた。しかし、エントが古い森を愛し、森の中を彷徨うのと違って、エントワイフたちは草花を育てることに興味を持ち、森の外へ出て行ってしまった。その後、戦争を経て、エントワイフたちの行方は分からなくなってしまった。そのため、エントの一族は殖えなくなってしまい、滅びゆく一族となっている。現在では、エントはファンゴルンの森にしか棲息していない。

エントの仲間、フオルン!?

トルキーンの作品には、エントのほかに、フオルンという種族も登場する。フオルン族は、普通の樹木(喋らないし動かない!)とエントたちとのちょうど中間的な存在で、普通の樹木と違って自分で動き回ることはできるが、エント以外の種族と話すことはできない。

サルマンと戦い、オークどもを撃破!?

ホビットのピピンとメリーがファンゴルンの森に迷い込んだとき、木のひげは彼らを保護した。そして、ホビットたちの話を聞いて、サルマンが悪に転じたことを知ると、エントの寄合を開催し、対応を協議した。3日間の長い協議(ただし、エントたちにとってはあっという間の議決だった!)の末、エントたちはサルマンと戦うことを決め、木のひげはエント族とフオルン族を率いてアイゼンガルドに侵攻し、オークたちを撃破し、サルマンを幽閉することに成功している。

版権の関係で「トレント」に!?

ちなみにテーブルトークRPGの『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(1974年)には、エントそっくりの「トレント(Treant)」という樹人族が登場する。当初は「エント」の名称そのまんまで登場していたが、版権の関係で途中から「トレント」という名称を用いている。『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の影響を受け、近年のファンタジー小説やゲームなどでは「トレント」という名称で登場することも多い。

ちなみに、同様の理由で『ダンジョンズ&ドラゴンズ』シリーズでは、エントがトレントに変更されたように、ホビットのことをハーフリング、バルログのことをバロール・デーモンと名称変更して使用している。

《参考文献》

Last update: 2023/08/20

サイト内検索