エッヘ・ウーシュカ

分 類イギリス伝承(スコットランド)
名 称 Each Uisge(エッヘ・ウーシュカ)《水馬》【スコットランド・ゲール語】
Each Uisce(アッハ・イーシュカ)【アイルランド語】
Aughisky(オヒシュキ)【英語】
容 姿ウマの姿をした妖精。
特 徴海などに棲み、人間を背中に乗せると水中に引き込んで貪り喰う。
出 典童謡「エイケン・ドラム」ほか

水棲馬の中でも獰猛なエッヘ・ウーシュカ!?

エッヘ・ウーシュカはスコットランドのハイランド地方に伝わるウマの姿をした恐ろしい怪物で、海や湖に棲んでいる。よく晴れた日の午後なんかに毛並みのいいウマの姿で出没し、岸辺の草を食んで近くに人間がやって来るのを待っている。そして人々に背中に乗るように仕向けてくる。しかし、この誘いに乗ってはならない。何故ならエッヘ・ウーシュカの背中には不思議な粘着性があって、一度でもその背中に跨(またが)ってしまうと、もう、二度と降りられなくなる。そして、そのまま水中へと引き込まれ、エッヘ・ウーシュカに喰われてしまうのである。次の日になると肝臓だけが岸辺に打ち上げられることになる。エッヘ・ウーシュカは肝臓は好きではないのである。

エッヘ・ウーシュカには不思議な能力がある。人が乗るたびに背中がちょっとずつ伸びるのである。ある伝承では、次から次へと少女たちがウマに跨ったが、7人も跨ることができたという。そのとき、1人の注意深い少年はウマが少しずつ伸びるのを観察して、乗るのを拒んだ。結局、少年以外の7人の少女たちは全員が湖の中に引き込まれて死んでしまったという。

エッヘ・ウーシュカを退治した話も知られている。娘をエッヘ・ウーシュカに殺された父親は、ヒツジを餌にエッヘ・ウーシュカを誘き出し、やってきたエッヘ・ウーシュカを熱した鉤で陸に引き上げて殺した。翌朝、エッヘ・ウーシュカの死体はクラゲのような塊になっていたという。

イギリスには多数の水棲馬が棲んでいる!?

スコットランドやアイルランドなど、イギリスにはエッヘ・ウーシュカに似た水棲馬の伝承がたくさんある。アイルランドではアッハ・イーシュカとかオヒシュキなどと呼ばれている。エッヘ・ウーシュカやアッハ・イーシュカは塩水に棲むことが多いが、同じスコットランドには、淡水に棲む水棲馬のケルピーがいる。また、オークニー諸島にはナッグル、シェトランド諸島にはタンギー、マン島にはカーヴァル・ウシュタという水棲馬の伝承がある。ウェールズの伝承に登場する水棲馬はケフィル・ドゥールなどと呼ばれている。いずれにしても、背中に乗せて水中に引き込もうとするので用心が必要だ。

アッハ・イーシュカをうまく陸上に連れてきて、鞍をつけることができれば、名馬になると伝えられている。ただし、このウマは内陸で乗らなければならない。海を見つけると、アッハ・イーシュカはたちまち、乗りて諸共に海に一直線に飛び込んでしまい、乗り手を貪り食ってしまう。また、アッハ・イーシュカはウシを喰らうとも伝えられている。

《参考文献》

Last update: 2014/02/11

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