エーギル

分 類北欧神話
名 称 Ægir(エーギル)《海》【古ノルド語】
Hlér(フレール)《海》【古ノルド語】
Gymir(ギュミル)《海》【古ノルド語】
容 姿髭を生やした年老いた神。
特 徴海の恐ろしさを擬人化した存在。船を沈め、その財宝を海底の宮殿に蓄えている。
出 典スノッリ・ストゥルルソン『散文のエッダ』(13世紀頃)、『詩のエッダ』(13世紀頃)ほか

大波で船を沈める海の巨人

エーギルは北欧神話に登場する巨人族(ヨートゥン)で、フレースエイと呼ばれる島に棲んでいる。戦で亡くなった人間はオージンのもとへと運ばれるが、海で亡くなった人間はエーギルのもとへ運ばれるという。北欧神話には海神としてニョルズが知られるが、ニョルズが航海や港湾を司るのに対して、エーギルは荒々しい外海の海を擬人化した神と言える。しばしば船に噛みついて沈没させると信じられていて、波は「エーギルの顎(あぎと)」などと呼ばれることもあった。彼の宮殿は海中に沈んだ黄金で溢れていて、照明を必要としないほど明るく輝いているという。オージンら神々を宴会に招く様子も描かれる。

エーギルにはラーンと呼ばれる妻がいて、彼女との間に9人の娘がいる。娘たちは波の擬人化である。

ゲルズの父親は……実はエーギルだった!?

ちなみに「ロキの口論(Lokasenna)」では、エーギルの別名として「ギュミル」が挙げられている。ギュミルと言えば、フレイが一目惚れした女巨人のゲルズの父親である。ゲルズの父親はたくさん財宝を持っているので、その点ではエーギルと合致するが、ゲルズの父親のギュミルとエーギルが同一の巨人かどうかは資料からは判然としない。

ちなみにギュミルにはアウルボザという妻がいるとされ、ギュミルとアウルボザは海と山を対比させた巨人だと解釈されているので、この点でも、ギュミルは海と関連性がある。

《参考文献》

Last update: 2023/03/21

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