2021年3月23日 クイズとクイズ力、学問と学力!?

東大王の鈴木光さんの本が平積みになっていてビックリした。本を書いたのか。歌も歌えて、英語もできて、クイズもできて、本まで書くのか。多才だなあ。東大に行って、クイズ研究会に入って、テレビに出て……そして、卒業。充実した学生生活だっただろうなあ。何よりも、学生のサークル活動の延長としてテレビに出ているのがすごいな、と思う。普通だったら、あれだけちやほやされたら、このまま芸能人になってしまおうか、と思ったりするだろう。ましてや、彼女は中学生の頃、芸能人を目指していた時期もあったはず。でも、そういう道ではなく、大学を卒業したら、就職して働く道を選んだ。モラトリアムには浸らない。その割り切りが、単純にすごいことだと思う。

何故か、茂木健一郎は『東大王』を目の敵のようにいつもバッシングしている。「『東大王』は、時代遅れの地上波テレビの芸能人タレント文化のアンシャンレジームが、東大生という安いギャラでそれなりの視聴率をとれる素材を見つけて利用」「東大生たちは真面目で適応力があるゆえのストックホルム症候群。日本の子どもたちに悪影響。日本没落を加速。そこには答えも未来もない」。ちょっと詩的で難解で何を言っているのか分からないのだけれど、「ストックホルム症候群」とは、結構、過激な表現だなあ、と感じる。

おそらくだけど、クイズと学問は違うよ、ということを言いたいのだろうな、と思う。それはそのとおりで、『東大王』の出演者はクイズの腕を磨いているから番組に出演できている。彼らは一般の東大生ではなくて、実はクイズに長けた東大生だ。その意味では、東大生を代表していないし、学問を代表していない。主従関係で言えば、クイズの腕があるというのが「主」で、東大生であるというのは「従」なのだ。それなのに彼らを「東大生」として説明してしまうことを問題視しているのだろう。

まあ、そういう一面もあるかな。クイズ=学問でも、学問=クイズでもない。そこに「東大」というラベルを貼って番組展開することへの違和感はあるのだろう。でも、おそらく、ボク個人の勝手な推測だけど、出演している彼らは、そんなに深刻には捉えていない。学生だから、楽しんで出演している。そもそも、クイズをやってきて、活躍の場があるというのは、単純に嬉しいだろうな、と思う。今後の後輩のために、この現場を終わらせないように、少しでも延命化しなければという発想、あるいは義務感みたいなものは、もしかしたら、あるかもしれない。いずれにしても、ストックホルム症候群というのは適切ではないような気がする。