2021年3月16日 人間は全知全能ではない。

情報番組「スッキリ」におけるアイヌへの差別発言が問題視されている。でも、ちょっとだけ違和感を覚えたので、書いておこうと思う。もしかしたら、こんなことを書くと批判もあるかもしれない。

よく、知識人は「勉強が足らない」「もっと勉強しろ」「こんなのは常識だ」とマウントをとる。「気づいて然るべき」と言う。でも、それって結果論だ。人間、知らないことの方が多いし、気づかずに通り過ぎていることが大半だ。まずは、それを認識することから始めないといけない。

今、SNSでいろんな本や論文が引用されていて、「あ、イヌ」が差別表現なのは常識だ、みたいな書き方をしている人がたくさんいる。でも、そこで引用されている本をあまねくすべての日本人が読んでいるわけもないし、読まなきゃいけないものでもない。論文まで引っ張り出してきて「ほら、ここにイヌが差別だって書いてあるじゃん!」とか言われても、その論文を読んでいる人の方が少数であることは明白だ。

歴史的にアイヌが差別されている事実は学ぶべきだし、そのこと自体はある種、日本人として知っているべきだとは思う。でも、この世のすべての差別表現を学んで知っていなければならないというのは、どだい無理な話だし、差別表現ひとつひとつを学ぶことには限界がある。大体、知っていることが偉いわけじゃない。差別しないことが大事なのだ。知らないことに対してマウントをとってはいけない。そもそも、全ジャンル、全方位において不勉強をそしられない立場でいられるのか、といえば、そうではない。知らなきゃいけないこと、知っておいた方がいいことなんてたくさんあって、でも、人間、知らないことなんてたくさんある。知ることについては、人間、限界がある。そのことをもっとわきまえた方がいい。

もちろん、番組は、知らなかったとは言え、アイヌを傷つけた。そのことについては誠心誠意、謝罪すべきだし、反省もすべきだろう。