2019年2月22日 本は目の前に現物があることが何よりも大事である。

最近、色んな本を読むけれど、そんな本の雑感。

昔、電子書籍は素敵だ、と思っていた。今でも、実はそう思っている。海外にいても、ボクの100冊は越える妖怪関係の書籍にはいつでもアクセスできて、役に立つ。どこにいても、ファンタジィ事典の準備ができる。仕事上で必要な勉強の本も、旅先などでもアクセスできるので非常に便利。

でも、ちょっとした空き時間に小説を愉しもうと思ったら、電子書籍はちょっと難しい。「積読」という言葉があるけれど、物体としての目の前に本があるから、何とかそれを減らそうと思って消化する。えいや、と鞄の中に入れて、電車移動中などに嗜む。そういう読み方をしないと、娯楽の本はどうしても後回しになってしまう。常にボクは20冊くらいの未読の本が待機していて、出掛けに選定して、鞄の中に2、3冊を詰める。小説なら、大抵は3日で読む。でも、電子書籍だと、そういう強迫観念が生じないので、放置されたら、そのまんまだ。だから、本の現物が目の前にある、という状況は、本を読み進める意味では、とても大事だ。

そして、ボクは本棚を常に目いっぱいの容量で運用している都合上、どれだけ読みたい小説があっても、絶対にハードカバーとノベルスは買わずに、文庫化されるのを待つ主義である。持ち運ぶ以上、本はコンパクトであるに越したことはない。電子化も文庫化されない小説は、残念ながら、ボクが読む機会には恵まれない。

そんな中で、最近、西尾維新の「忘却探偵シリーズ」がようやく文庫化されている。今、2冊目までが刊行された。やっと文庫本になった、と万感の思いで、密かに楽しんでいる。

西尾維新と言えば「戯言シリーズ」の印象が強いが、「忘却探偵シリーズ」になって、何だ、この作者、ちゃんとした日本語が書けるのか、とビックリしている。「戯言シリーズ」は「ぼく」の一人称なので、ぐちゃぐちゃとした変な日本語だった。でも、それが西尾維新特有の文体なのかと思っていた。意外とちゃんとした日本語だったので、ボクは驚いているし、しかも、ちゃんとミステリーになっている点も、ボクはビックリしている。

これまでのところ、新垣結衣が主演だった同名のドラマと、基本的にはストーリーはほとんど同じだ。でも、小説は小説で、読み応えがあって、非常に面白い。特に2冊目の「掟上今日子の推薦状」は最後の最後で、タイトルどおり、彼女の推薦状が登場し、1冊できれいにまとまっている。こういう醍醐味は連続テレビドラマにはない、小説1冊で完結しているからこその楽しみだな、と思った。そのうち、ドラマにはない展開も出てくるだろうから、非常に楽しみだな、と思っている。