2014年9月30日 韓国の妖怪って!?

韓国の妖怪(?)について、いろいろと調べている。そのうち、正式にファンタジィ事典に載せよう。でも、取り敢えず、メモメモ……。

【パルガン・マスク】

빨간 마스크〔Ppalgan Maseukeu〕(パルガン・マスク)《赤いマスク》【朝鮮語】

1979年に日本各地で大流行し、社会問題にまで発展した都市伝説の口裂け女。彼女は海を渡り、遂には韓国にも出没するようになったらしい。韓国で流行したのは90年代の始め頃かららしい。10年のときを経て、彼女は韓国の地で復活したのである。

韓国では「パルガン・マスク」と呼ばれている。日本では彼女のマスクの色が言及されることはないので、多くの日本人は普通の白いマスクを連想していると思う。ところが、何故か、韓国では赤いマスクに白いコートを着ているらしい。実は「パルガン・マスク」というのは、朝鮮語で《赤いマスク》という意味なのである。

物語は日本の口裂け女と同じ。「私、きれい?」というお馴染みの台詞も健在で、韓国語で「나 예뻐(ナ・イェッポ)?」と訊いてくるという。そして「きれい」と答えると、マスクを外して「これでも?」と訊いてくる。その口は耳まで裂けている、というもの。恐ろしくなって逃げても、パルガン・マスクはものすごい勢いで追いかけてくるのである。

【タルギャル・キシン】

달걀 귀신〔Dalgyal Gwisin〕(タルギャル・キシン)《卵鬼》【朝鮮語】

タルギャル・キシンは韓国では有名な学校の怪談に登場する妖怪で、《卵鬼》という名前が示すとおり、卵のような姿をしていて、細い手足が生えている。そして、頭と足は逆さまで、頭の部分を床にトン、トン、トンとぶつけながら移動するという。トイレの妖怪で、ときには子供を食べてしまうこともあるらしい。次のような物語が知られている。

ある女の子が用を足そうと一番奥の個室に入ると、何者かがトン、トン、トン、と音を立てながら、入り口側の個室にやってきて、ノックする。そして「あ、いない」と呟く。また、トン、トン、トンと音を立てて移動して、隣の個室をノックし、「あ、いない」と呟く。それを繰り返して、いよいよ女の子の入った一番奥の個室の前にやってきた。彼女は恐る恐る下から覗き込むと、不気味な顔が覗きこんでいて、女の子は気絶してしまった。

その一方で、ノッペラボウの派生形のようなタルギャル・キシンも知られている。

あるとき、男の子がトイレに行った友人を待っていたが、あまりにも遅いので呼びに行くと、トイレの個室で友人がタルギャル・キシンに食べられていた。男の子は驚いていると、タルギャル・キシンは「お腹がいっぱいになったからお前は食わないでやる。でも、今見たことは絶対に秘密にしろ」と言う。彼はタルギャル・キシンと約束をしてトイレを出る。しばらく彼はこの出来事を黙っていたが、あるとき、クラスで同級生と二人きりになったときに、つい、タルギャル・キシンの話をしてしまった。するとその同級生は突然、「話すなと言っただろう!」と叫んだのである。

このヴァージョンでは、タルギャル・キシンは、目も鼻も口もない、卵のような顔をした妖怪である。

【チョスン・サジャ】

저승사자〔Jeoseung Saja〕(チョスン・サジャ)《あの世の使者》【朝鮮語】

チョスン・サジャは韓国の死神。3人一組で活動するらしい。白っぽい顔に真っ黒い唇、真っ黒い民族衣装に山高帽をかぶり、死ぬ予定の人間のリストが書かれた紙と筆を持っている。チョスンとは《あの世》、サジャとは《使者》のこと。名前のとおり、閻魔大王に命じられて、死ぬべき人間を迎えに来るのである。非常に官僚的だとされる。

韓国では、お葬式の際には、使者のための特別な御膳が準備されることもあって、御膳にはご飯やおかず、お金の他に、使者が履く草鞋(わらじ)まで添えられるという。

チョスン・サジャに関しては、連れて行く人間を間違えたり、同姓同名を連れて行ったりして、閻魔大王に怒られるなどのお茶目なエピソードも知られている。また、寝ているときに三人の人間が話し合っているのを聞いてしまう、という話もよく知られている。「この家だ」「いや、あの家だ」と議論して、いつの間にかいなくなる。そして、次の日に隣の家の人が死ぬ、というものだ。彼らはチョスン・サジャで、もしも、「この家だ」と結論づけられていたら、死んでいたのは自分だった、という物語である。

* * *

日本と似ている部分もあるし、異なる部分もある。韓国の方が恨みの部分が強く、怪談なんかは怖い、と聞いたことがあるけれど、どうなのだろうか。

パルガン・マスクは日本の口裂け女だけれど、マスクの色は何故か「赤」だ。白いコートに赤いマスク。その姿は強烈だ。

タルギャル・キシンは、トン、トン、トン、と近づいてくるのが、とても怖いな、と思う。でも、卵に手足が生えている、と聞くと、ハンプティ・ダンプティを連想して、どうしてもボクなんかかわいい姿を想像してしまう。どうだろうか。

チョスン・サジャは伊坂幸太郎の「死神の精度」に登場する主人公を思い出すけれど、これは小説。本来、日本人は死神に対して明確なイメージはない。韓国人は日本人よりも明確に死神をイメージしている。

そんなわけで、韓国の妖怪である。韓国には、もっと、いろんな妖怪がいるのだろう、と想像するので、今後もいろいろと調査を進めていきたい。